『ヒットラーのむすめ』(鈴木出版)
鈴木出版から、海外児童文学ーこの地球を生きる子どもたちーのシリーズが出版されています。これから大人になってゆく子どもたちがグローバルな問題意識を持つ機会となりそうなすばらしいシリーズです。ぜひ、ひとりでも多くの日本の子ども達に読んで欲しいシリーズと思い、書評を書きました。
『ヒットラーのむすめ』(鈴木出版)
子どもたちの4人のお話ゲームの中で始められた「ヒットラーのむすめ」の物語と少年の疑問と交互に進む『ヒットラーのむすめ』の物語~戦争を知らない現在の日本の子ども達にぜひ読んでほしいお勧めの良書です。
『ヒットラーのむすめ』(鈴木出版)は、こちら・bk1へ。
オーストラリアの少女アンナが始めた「お話ゲーム」から「ヒットラーのむすめ」の話が生まれました。アンナ、マーク、ベン、トレーシーの四人は、地域発展協会が建ててくれたバスの待合所でスクールバスを待っています。
雨が降り続いていた日々、アンナが「ヒットラーに娘がいたの…」と話を始めました。「ヒットラーって、だれ?」と小さいハイジが聞きます。
もし、あなたのお子さんがヒットラーを知らなかったら、あなたはどう説明しますか?
この本の中では、ベンが「第二次世界大戦のときのやつだよ」「ドイツの指導者だったやつだ。で、ドイツはオーストラリアの敵国だったんだ。日本もな。でもって、ヒットラーには、ナチスの突撃隊とかゲシュタポとかがついてて、人を拷問にかけたり…」と小さなトレーシーにも分かるように具体的に説明をします。
そのマークが「でも、ヒットラーにはむすめなんかいなかったよ」とアンナに抗議します。それでも、その話は続くことに…。名前は、ハイジ。アンナのお話はどんな形で終わるのでしょうか。アンナの豊かな創造力と繊細な表現力に感心しながらストーリーを辿りました。
「ヒットラーってどんなやつだったんだ」「ヒットラーは、なんでそんなことしたの?」「どうしてヒットラーはユダヤ人をきらってたの?」「あの、たとえば、だれかのお父さんがすごい悪いことをしたとしたら…たとえば、ヒトラーとかポル・ポトとみたいにですけど…その子どもも悪くなるんですか?」など、マークは、両親やバスの運転手のラターさんやマグドナルド先生にヒットラーについての質問を次々と投げかけます。
大人は誰もマークの疑問に満足できる答えを与えてくれません。ヒットラーへの疑問から、オーストラリアの先住民アボリジニに至るまで、様々な問題意識を抱く純粋で懸命なマークを応援するようにページをめくりました。
アンナの話とマークの疑問と交互に進む『ヒットラーのむすめ』の物語、子どもたちが戦争や社会のあり方、自分と親の関係に悩み、問題意識を抱きつつ成長しようとする姿を描いた物語です。物語に添えられた北見葉胡さんのイラストも素敵です。
戦争を知らない現在の日本の子ども達にぜひ読んでほしい良書としてお勧めします。
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コメント
魔女さん、こんばんわ♪
このシリーズ、いいですよね。息子にも勧めています。
ホロコーストを子ども達に語る新しい語り口だと感じます。
トラック・バックとコメントをありがとうございました。
投稿 まざあぐうす | 2005/10/22 21:48
まざあぐうすさん、またまたこんにちは!
秋雨の季節に、こんな話を・・・ということで、『ヒットラーのむすめ』、
アップしましたのでTBさせていただきました。(^^)
戦争を過去のもの、過去のあやまちとしてとらえないために、
わたしたちもずぅっとずっと、問いかけていたいですね。
「もしも・・・だったら・・・」。
投稿 本棚の魔女 | 2005/10/22 10:37
本棚の魔女さん、いらして下さったありがとうございます。鈴木出版の海外児童文学ーこの地球を生きる子どもたちーは、とってもいい企画だと感じました。
少し前に「ほのぼの文庫」で、取り上げましたが、同じシリーズの『イクバルの闘い』は、息子も読んでいました。
60年間戦争がない日本という島国にいると視野が狭くなりそうですので、こうした本を息子のような世代の子どもたちに読んでほしいなあと思っています。痛みの共感・・・大切なことですね。
また、いらしてくださいね。私も伺います。
投稿 まざあぐうす | 2005/02/03 21:52
まざあぐうすさん、こんにちは!
また遊びにきました、本棚の魔女です♪
この「ヒットラーのむすめ」、わたしも近々とりあげようと思っていたんです。決して子どもの本を教育に利用しよう、という意味ではありませんが、こうした本の企画、とても意義のあることだと思います。戦争について考えていくこと、悪というものを多面的に見る視点、そこにいる「誰か」の胸の痛みへの共感・・・。
おとなもこどもも、復元的な目で戦争をとらえられるようになりたいですね。
投稿 本棚の魔女 | 2005/02/03 20:25
山猫編集長さん、こんばんわ。今日は、息子たちの中高のロードレースで朝から出かけておりました。
やっと落ち着いて、パソコンに向かっています。コメントをありがとうございました。
今の中学でも、現代の戦争については教えていないのですね。私の頃・・・と言っても、30年くらい前ですが、やはり、第一次世界大戦位で終わっていたようです。
今もそうだとは・・・。息子は、まだ中二ですので、これからだと思っていました。社会の先生に伺ってみようかと思います。
編集長さんは、熱心なお父様ですね。
このシリーズは、『イクバルの闘い』という実話に基づいた本が先に出版されています。「ほのぼの文庫」で少し前にご紹介させていただきました。
カテゴリーの鈴木出版の海外児童文学ーこの地球を生きる子どもたちーをクリックしていただけると出てくるかと思います。
カテゴリーがごちゃごちゃになっていまして、見づらいことに気が付きました。これを機会に整理させていただきます。
いつもコメントをありがとうございます。
これから山猫編集長さんのサイトに伺わせていただきます。
投稿 まざあぐうす | 2005/01/31 21:20
検索してみましたら、このシリーズはまだこの本だけなのですね。
こんな本を探していたんですよ。
ワタシも読んでみたいですし、中学生・高校生の子どもたちにも読んで欲しいと思います。
昨年は、上の子が中3だったのですが、現在の中学校の社会科では、ザンネンですが、ほとんど現代史の戦争のことは教えていないと思います。
うちの子が、あまりに戦争のことを知らないので、担任の先生が社会科でしたので聞いてみたことがあるんです。
そしたら「現代史の戦争は、教えてません」という回答。
「先生、社会科で何を教えたいんですか?」と半ばけんか腰につめよったことがあります。
おはずかしい話ですが。(笑)
--(や)--
投稿 山猫編集長 | 2005/01/31 17:50