絵本『おきなわ・メッセージ つるちゃん』(ぶん・え 金城明美)
(金城明美・ぶん・え)『おきなわ・めっせーじ つるちゃん』(絵本「つるちゃん」を出版する会)
沖縄戦を語り、永遠の平和を願う絵本![]()
『つるちゃん』は、沖縄で小学校の教員として勤めている金城明美さんが、母親の子ども時代の悲惨な戦争体験を語り、描いた絵本です。
作者の金城明美さんは、母親(つるちゃん)からくり返し沖縄戦のことを聞かされました。明るい性格の母親が、涙ながらに語る戦争の悲惨さを、戦争を知らない世代の金城さんはどのように受けとめたらよいのか・・・迷った時期もありましたが、丸木位里・俊ご夫妻との出会いを通して、母親の体験を記録として残し、子ども達に伝えてゆくことの大切さを感じました。そんな思いの中から出来上がった絵本です。
絵本を開くと題名『つるちゃん』の下に片目の幼い女の子つるちゃんが膝を抱えて座っています。「今でも忘れられない出来事を見てきたのです。」という直筆のメッセージが添えられています。たとえメッセージが無くても、幼いつるちゃんの深い悲しみが伝わってくる絵です。
初めに、沖縄の美しい海、広いさとうきび畑・・・沖縄で楽しく暮らしていたつるちゃんの様子に続いて、逃げ惑う人々の暗いページ・・・沖縄戦の始まりが描かれています。
暗いお墓に隠れるつるちゃん一家、そして、激しくなる空襲・・・一人ずつ家族が亡くなってゆきます。
亡骸を葬るゆとりもなく逃げ惑う人々、つるちゃんは、親戚のはるねーねーと一緒にお父さんを土に埋めて、逃げました。親戚のおじさんもおばさんもお母さんも弟も一瞬のうちに、爆撃の中に消えてゆきました。そして、はるねーねーも・・・。
つるちゃんは、たった一人になってしまいます。つるちゃんの目は、いつも片方しか描かれていません。
最後のページには、つるちゃんの平和への祈りが描き、綴られています。
絵本『つるちゃん』は、沖縄戦を語り描くと同時に、永遠の平和を願うメッセージも込められた絵本です。東京の小学校の教員である牛島貞満さんをはじめとする《絵本『つるちゃん』を出版する会》の方々と沖縄関係のすぐれた本を多く出版している高文研という出版社の協力のもとに出版されました。絵本のあとがきに牛島貞満さんの「ぼくらができること・・・それは沖縄のメッセージを東京から発信することです」という言葉が引用されていて、心に残りました。
肉親の死を目にしたときの深い悲しみ、確かな情報が得られないまま逃げ惑うしかなかった当時の沖縄の人々の恐怖と戸惑いが身にしみて感じられます。戦争を知らない子ども達にぜひ読んでほしい絵本の一冊です。
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