『にほんご』(福音館書店)
「ことばには いつも きもちが かくれている。」
ことばって何?と問われた時、どう答えるだろうか。
今の自分にぴったりの答えが、見つかった。
『にほんご』という本の中の一節だ。
「けれど きもちが あんまり はげしくなると
ひとは それを ことばに できなくなることもある。
わらったり ないたり、
ひとりぼっちで だまりこんだり、
ぼうりょくを ふるったり・・・・
そんなとき、ことばは こころのおくふかく かくれてい る。」と続く。
ことばの中に気持ち(心)が隠れていて、心の奥深くにことばが隠れているという哲学的な言葉観にはっとさせられた。
『にほんご』は、1979年の初版から読み継がれていることばの本のベストセラー。安野光雅、大岡信、谷川俊太郎、松居直によって、自由に、独創的に構想された、文部科学省の学習指導要領にとらわれない小学校1年生の国語教科書である。
「ことばは からだの なかから わいてくる。」と言う一節も心に響く。
小学1年生と言えば、ことばを体系的に学び始める時期だ。初めて論理的にことばに触れる子ども達に向かって、ことばは頭ではなくて、体の中からわいてくるという。
ことばの豊かさを求めるならば、豊かな体験を求めよというメッセージだろう。
「にほんご」という題名でありながら、世界各地のことばを紹介している。
ことばが意味伝達、感情表出の一つの手段であることを告げながら、ナンセンスやリズム、そして、ことばあそびの大切さを伝えている。
ことばを通して人間のあり方を考えることや人間関係を築くことの大切さをさり気なく伝えている。
また、点字の紹介も丁寧だ。
私たちが生きているのと同じようにことばも生きている。
だから、ことばには体と心と全てをかけて向かわなくてはならない。 ことばは人間が生きていく上で、とても大切なものなのだ。
そんなことを楽しく、分かりやすく教えてくれる一冊。谷川俊太郎氏による文章も安野光雅氏による挿絵も美しい。
小学校1年生の教科書として用いるならば、先生と生徒の関係性が大きく問われるだろう。教える側の人間性が深く問われるだろう。その問いが教える側の大人に成熟を促すのではないだろうか。
言語教育関係者のみならず、「母語」について、「ことば」について考える時にお勧めの一冊。
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コメント
yuzukiさん、コメントをありがとうございます。
ようやくレビューを書いてみようという気分になりました。
『にほんご』はさらっと読める本ですが、内容は深いと感じました。特のことばを覚えるものとしてではなく、体験から、また人間関係から獲得することを促しているように感じました。
本の制作に関わったお一人お一人のメッセージが込められていることを感じました。
yuzukiさんの心に響くメッセージがあって、うれしいです。
投稿 まざあぐうす | 2005/10/19 20:08
この本は未読ですが、レビューを拝読しながら
頷くことしきりです。
>ことばの豊かさを求めるならば、
豊かな体験を求めよというメッセージだろう。
体験により紡がれた言葉は
輝きが違うのでしょうね。
投稿 yuzuki | 2005/10/19 16:12
rosyさん、コメントをありがとうございます。
「日本語」関連の書籍はかなりの量あると思いますが、そんな中で、ふっと言葉の原点に帰って、母語である日本語を感じさせてくれる一冊でした。
言葉を大切にしたいと思っている昨今、とてもいい本に出会ったと思っています。孫ができたら(まだまだ先ですが)、小学校入学の時に贈りたいななどと思っています。
投稿 まざあぐうす | 2005/10/19 13:28
連続のコメントですみません、。
ほんの紹介の下にも文章があることに気付かず、コメントしてしまいました。
感想がまるで本文の内容と異なっているように感じてしまったので改めてコメントさせていただきます
にほんご、ひとつを語るものではなくて、ことばの役割やその魅力のようなものをつかみとりたいなぁとも思いました。
投稿 rosy | 2005/10/19 01:23
最近、日本語を大切にしなくちゃいけないなぁと意識していたころだったので、この記事を見てぜひ、「にほんご」という本を読んでみたいなぁと思いました。
英語化が進む世の中ではありますが、日本語の持つ響きとか意味とか背景を大切にして後世(自分の子供や孫?)に伝えていけたら、と思います。
私自身、よく分からないまま使っていることばが予想以上に多かったことにショックも受けてしまったので。
投稿 rosy | 2005/10/19 01:20