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2007/12/31

(津田直美・著)『セーターになりたかった毛糸玉』(ブロンズ新社)

 夜、お客さんが帰った後の手芸店の片隅に置かれた毛糸玉
 この絵本は、そんな毛糸玉の心の声に耳を傾けることから始まります。

 マフラーになりたい青年毛糸、しましまの帽子になろうと約束を交わした恋人毛糸、このまま毛糸で一生を送ってやるわいといじけている老いぼれ毛糸、何とかしてセーターになれるように誰かが買ってくれるのを待っている10個の赤い毛糸玉たち。

 毛糸玉たちの一番のあこがれはセーターになること。

 ある日、願いがかなってセーターを編むために毛糸を買いに来たおばあさんに10個の赤い毛糸玉たちは買われてゆきました。
 5個の毛糸玉はセーターの胴体に、3個の毛糸玉はセーターのそでに、残りの毛糸玉は、セーターのみごとな胴体とそでをとりかこむ美しいゴム編みに・・・ところが、1個だけを残してセーターはできあがってしまいました。

 たったひとつ残った毛糸玉は、余り毛糸の箱の中に入れられ、わが身の不運を嘆きました。「考えるだけ無駄なことだ」と他の毛糸玉は言いますが、赤い毛糸玉は、どうしてもセーターになる夢を捨てることができませんでした。
 長いこと忘れられている毛糸玉たちのつぶやきが聞こえますか?

 次の日、おばあさんから箱から取り出したのは赤い毛糸玉。
 誰より先に箱から出してもらえたことを喜んだ赤い毛糸玉でしたが、おばあさんが編み上げたのは、セーターではなく、小さな手袋だったのです。誰がなぐさめてくれても涙が止まりませんでした。
 
 ところが、決して夢をあきらめなかった毛糸玉が数奇な運命の果て、とうとうセーターになることができるのです。

 さまざまな試練に出遭いながらも、決して夢をあきらめなかった赤い毛糸。夢は、自分の思った通りに叶ってゆくものではなく、夢を持ち続ける意志によって叶ってゆくものなのでしょうか。最後のページの赤い毛糸の笑顔は、夢が叶ったしあわせに満ちています。

 健気な赤い毛糸から、あきらめずに夢を持ち続けることの大切さを教えられました。小さな手袋が一体どうやってセーターになったのでしょう。知りたい方は、ぜひ、この絵本を開いてみてください。

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(リー・キングマン・著/バーバラ・クーニー・絵)『とびきりすてきなクリスマス』

 10歳になるエルッキ・セッパラは、感謝祭から「もうじきクリスマスです。どうぞ、とびきりすてきなクリスマスにしてください。」と毎晩祈り続けていました。セッパラ家は、長男で船乗りのマッティ、町のパン屋で働いている金髪のセイマ、16歳になる丸顔のミッコ、12歳になるものしずかなアイリ、7歳になる弟のアーニ、5歳になる双子のエラナとエノ、3歳のラウリ、そして、赤ん坊のアンナの大家族でした。
 
 赤いチェックのテーブルクロスのかかった大きなテーブル、テーブルクロスと同じ赤いチェックのカーテンのかかった窓、台所の隅には大きな黒い石炭のストーブがあり、そのそばに揺り椅子が二つ・・・セッパラ家の台所は、いつもパンやパイを焼く香ばしい匂いやシチューの煮える美味しい匂いに満ちています。台所はいつも家族でにぎやかでした。

 そんな台所に、思いがけない知らせが届きます。いつもきょうだい達に、わくわくするようなクリスマスのプレゼントを抱えて帰宅するはずのマッティの船が行方不明に・・・。

 マッティひとりいないだけで、からっぽでひっそりとした感じになってしまったセッパラ家の台所でしたが、気持ちを取り直したお母さんが、「クリスマスってどういう日だか、わすれていたようね。」と言い、「クリスマスをお祝いしないなんて、おかしいわね。」と言います。
 再び、揺り椅子に座って、編み物を始めたお母さん、モミの木を切りに行くお父さんとエルッキとミッコ、そして、10歳のエルッキが兄のマッティに代わって、密かに物置で、クリスマスのプレゼントを準備し始めます。

 クリスマスの日の朝、セッパラ家の台所は、コーヒー・パンと、ミンス・パイを焼くいい匂いがしていました。マッティが家に帰れるようにと願いを込めて、台所の窓辺に、白いろうそくを立てました。お父さんとエルッキがクリスマスツリーを居間に運び、お母さんが10組のミトンを吊るします。さて、エルッキが準備したプレゼントはどんなものでしょう。そして、兄のマッティの行方は・・・?

 作者のリー・キングマンさんのご主人のフィンランドの大家族がモデルとなって生まれたお話です。アメリカを代表する絵本作家のバーバラ・クーニーさんの白黒の挿絵がとびきりすてきです。
 
 「クリスマスは、プレゼントをもらうだけの日じゃない。イエスさまのお誕生日なんだよ。だから、だいじなのは、プレゼントをあげたいとおもう心なんだ。」というお父さんの言葉が心に残りました。つつましく暮らす一家の喜びも悲しみも分かち合うクリスマス、本当のクリスマスって何だろうということを原点に戻って考えさせてくれるあたたかなお話です。

以上、「ほのぼの文庫」管理人の<まざあぐうす>が、bk1に投稿して掲載された書評です。

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2007/12/30

良いお年をお迎えください♪

 今年もいよいよ年末を迎えようとしています。
 「ほのぼの文庫」を訪れて下さいました皆様、本当にありがとうございました。
 今年も何かとあわただしくブログをまめに更新することができませんでしたが、昨年に引き続き、梨木香歩さんの作品の植物アルバムをたくさんの方に閲覧していただいたようで大変うれしく思っています。
 
 昨年は、年末にかけて指輪物語やナルニア国物語、モモなど長編ファンタジーを読んでいましたが、今年は、ゲド戦記を最後に、年末は贈呈いただいた歌集をまとめて読んでいます。児童文学の講座を終えましたので、自分本来の文芸でもある短歌の世界に戻りたいと思っているところです。

 クリスマス関係の絵本も数冊読みましたが、書評を書くことができずに、とうとう年末を迎えてしまいました。来年のクリスマスには、クリスマスの絵本の書評を書きたいなと気持ちはもう来年のクリスマスに飛んでいます。(気が早すぎますね!)

 冷え込んできました。インフルエンザも早くから流行しているようですので、皆様、お風邪にお気をつけて良いお年をお迎えくださいませ。そして、来年もどうぞよろしくお願い致します。

                                            まざあぐうす

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