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2008/01/18

(佐藤初女著)『おむすびの祈り 「森のイスキア」こころの歳時記』(集英社文庫)

 著者である佐藤初女さんは30年も前から自宅を開放し、心を病んだ人、苦しみを抱えた人たちを受け入れて来ました。その季節に採れる新鮮な素材の手料理とおむすび、そして、黙って傍らに座る著者によって多くの人が癒され、励まされました。
 そんな著者を慕う人たちの奉仕や寄付によって、霊峰岩木山の麓に「森のイスキア」という憩いと安らぎの場が開設されました。

 第一章 冬 いのちへの気づき
 第二章 春 人生の種蒔き
 第三章 夏 心で生きる
 第四章 秋 希望の鐘

 著者の生い立ちから「森のイスキア」開設に至るまでの日々や「森のイスキア」の四季を巡る「食」「信仰」「出会い」が美しい写真とともに紹介されています。各章に<佐藤初女さんへの手紙>が一通ずつ引用されています。

「耐えがたきを耐え
 忍びがたきを忍び
 許しがたきを許し
 あたたかい太陽を思わせるやさしい言葉
 冬のきびしい寒さにも値する愛情ある助言
 慈しみの雨のように涙を流しては共感する
 なごやかな風を思わせる雰囲気
 それが母の心
 佐藤 初女」

 巻頭の言葉に著者の生き方が集約されていますが、一冊を読み終えた時、一人一人のいのちを、また、どの食材のいのちをも限りなく慈しむ著者の姿が浮き彫りにされ、著者の命への慈しみにあたたかく包まれ、命への気づきを促されます。
 食という日常の営みを通して人生を深く見つめなおすことができる一冊です。

 40数年生きていると望んでいないにも関わらず、否定的な感情の渦に見舞われることがあります。そういう感情しか湧かないような出来事に見舞われることもしばしばありました。

 感情の内容に関わらず、ネガティヴな感情と向き合うことにはエネルギーを要します。ある時から突き詰めて考えることをやめて、適当なところで蓋をしてしまうような生き方をせざるを得ませんでした。
 特に母親になってからは、自分のことより子どもを、あるいは夫のことを優先して生きてきたように思います。

 ネガティヴな感情とはやっかいなもので、蓋をして忘れてしまったようでいて、心のどこかに澱んでいて、ひょんな時に顔を出すような気がします。ひょんな時だったらまだしも、体の不調として、長引く病を招いたり・・・
 

 本著にネガティヴな感情との向き合い方が示唆されている箇所がありましたので引用します。
 「ストレスはたまりませんか」
 「自分の悩みや苦しみはどうやって解消しているのですか」という質問に対して、著者である佐藤初女さんは

 「辛いこと、腹立たしいことがあるとき、私はまず自分のそういった思いを強く感じるようにしています。感じることを中途半端にはしません。そうすると煮えくり返るほどの怒りがこみあげてくることもあります。また、心の中であまりにも強い葛藤を感じて、疲れ果ててしまうこともあります。苦しんで苦しんで、もうこれ以上苦しむことができないというところまでいくと、後はもう自分ではどうにもできなくなって、神様にすべてをお任せしようという心境になります。すると、必ずそこから這い上がる道が見えてきます。」という思いを綴っています。

 佐藤初女さんのネガティヴな感情との向き合い方は、本著冒頭で述べられている

 私“面倒くさい”っていうのがいちばんいやなんです。
 ある線までは誰でもやること。
 そこを一歩越えるか越えないかで、
 人の心に響いたり響かなかったりすると思うので、
 このへんでいいだろうというところを一歩、もう一歩越え
 て。
 ですからお手伝いいただいて、
 「面倒くさいから、このくらいでいいんじゃない」っていわ
 れると、とても寂しく感じるのです。

 という思いと重なるところがあります。

 常人のなせる一線をもう一歩越えたところまで考え、苦しみ、行動して、その結果の全てを神様にお任せするというのが佐藤初女さんの生き方です。 自ら病気と闘い、乗り越えた作者の言葉には真実味と重みがあります。

 辛いこと、苦しいことをしょうがない、とあきらめるのではなく、あきらめる前にその思いをもう一歩強く感じてみようという勇気が与えられたような気がします。

 以上、「ほのぼの文庫」管理人の<まざあぐうす>が、bk1に投稿して掲載された書評です。

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コメント

>SDTMさん、bk1へのリンクのことですか?bk1の書評は、ブログの記事を推敲してまとめたものを投稿(寄稿)しています。

投稿 まざあぐうす | 2006/05/18 13:45

★ 本のリンクは自動的でしょうか?
  それとも、まざあぐうすさんがリンクの
  記述を書いているのでしょうか?

投稿 SDTM | 2006/05/18 12:44

>マーガレットさん、コメントをいただきながら、気づくのが遅れてすみません。

 第二番をご覧になられて良かったですね。

>その上品で淡々とした生き方の中に、神さまとか祈りとかいうことを深く感じさせられました。
 本を通してではなく、ガイアシンフォニーのスクリーンで佐藤初女さんを拝見してみたいなと思って、第二番の上映会を楽しみにしています。

 ブログにコメントを追加しました。

投稿 まざあぐうす | 2006/05/17 11:46

まざあぐうすさん
ガイア・シンフォニー第2番で左藤初女さんを知りました。その上品で淡々とした生き方の中に、神さまとか祈りとかいうことを深く感じさせられました。
ご紹介くださったまざぐうすさんにも感謝です。

投稿 マーガレット | 2006/05/15 08:41

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