十二支の由来を語る絵本6冊のご紹介
干支は、1300年ほど前に中国から伝えられた暦の表し方ですが、現在の日本では、十二支だけが人々の生活の暦として残り、十干を知っている人は少なくなりました。その十二支の由来も全国的にいろいろなお話として伝えられているようです。
十二支の由来を語る絵本6冊を読んでみました。一冊一冊の絵本にそれぞれの特徴があって、それぞれの面白さがありました。楽しみながら干支を覚えることができそうな絵本、お勧めの6冊です。
(谷真介著)『十二支のはじまり』(佼成出版社)
干支は、1300年ほど前に中国から伝えられた暦の表し方ですが、現在の日本では、十二支だけが人々の生活の暦として残り、十干を知っている人は少なくなりました。その十二支の由来も全国的にいろいろなお話として伝えられているようです。『十二支のはじまり』では、岡山県に伝わるお話が紹介されています。
「元日の あさ、しん年の あいさつに ごてんに きなさい。一ばん はやく きた ものから 十二ばんめまで、 じゅんばんに 一年かんずつ、 どうぶつたちの 王さまに して やろう」という神様の呼びかけから物語が始まります。その上に、お正月のご馳走をしてくださると神様は言っています。
版画で描かれた動物たちは、リスも鹿もクマも猫も…もちろん十二支に入っている動物たちもみんな大きな眼を開けて、神様のお話を熱心に聴いています。神様は立派なお姿…さて、どの動物がどのようにして、神様の御殿にたどり着くのでしょう。
ネズミにだまされる猫の寝ぼけ顔が何とも滑稽です。一生懸命に歩く牛の姿、その上に寝そべっているネズミの姿、あらあら、御殿の扉が開かれると、ひょいと飛び降りて、牛の先をゆくネズミ。「なあに。一ばんに ならなくても、十二ばんまでに はいれば いいんだ。…」と牛は大らかです。それに続く、トラ、ウサギ、蛇、龍、馬…みんな生き生きと描かれています。
いつもは、夜明けを告げるニワトリが一番でなかったのはなぜでしょう。言い訳を聞いて、門番が笑っているように見えます。もうもうと土煙を上げて走ってくる最後の二匹…一体、どうなるのでしょう。それは、この絵本を開いてからのお楽しみです。
生き生きと描かれた動物たちの絵を見ているだけでも、楽しく、元気が出てくる絵本です。あとがきに、十干と十二支の由来が説明されていますが、子供たちにとっては、各地に伝えられたお話の方がきっと楽しいでしょう。年の初めにお子さんと一緒に十二支の由来のお話を読んでみてはいかがでしょうか。
(岩崎京子・文/二俣英五郎・絵)『十二支のはじまり』
子ども達が楽しみながら十二支を覚えることができそうな絵本です
“しょうがつの あさ、ごてんに くるように。きた ものから 十二ばんめまで じゅんばんに 一ねんずつ、 その としの たいしょうに する”という神様のおふれから物語が始まります。
動物たちが、「自分こそは一番乗りだ」という表情で神様のお触れを聞いている姿が描かれています。続くページは、おなじみの猫がネズミにだまされるくだりです。
牛は前の晩から歩き始めます。一生懸命に歩く牛の姿、その背中の上でぐっすり眠っているネズミの姿、そして、御殿の扉が開かれると、ひょいと飛び降りて、ちゃっかり牛の先をゆくネズミ。牛はやれやれという表情をしています。
それに続く、脚の速さが自慢の動物たち、雲に乗って飛んでゆくたつと草むらを這ってゆくへび、馬に続く動物たち、十二支に入っていない動物たちもたくさん走っています。サルと犬が喧嘩をしながら歩いています。その仲介役の鶏…御殿の前を行き過ぎてしまった猪。
干支は、1300年ほど前に中国から伝えられた暦の表し方ですが、現在の日本では、十二支だけが人々の生活の暦として残り、十干を知っている人は少なくなりました。その十二支の由来も全国的にいろいろなお話が伝えられているようです。
岩崎京子さんの語る『十二支の始まり』は、子ども達が楽しみながら十二支の順番を覚えることができそうな絵本です。年の初めにお子さんと一緒に十二支の由来のお話を読み比べてみるのも面白いのではないでしょうか。
『じゅうにしのおはなし』
干支は、1300年ほど前に中国から伝えられた暦の表し方ですが、現在の日本では、十二支だけが人々の生活の暦として残り、十干を知っている人は少なくなりました。その十二支の由来も全国的にいろいろなお話が伝えられているようです。
私は、年末から新年にかけて、十二支に関わる絵本を読み比べてみて、それぞれの絵本にそれぞれの特徴があり、楽しみがあることを感じています。
ゆきのゆみこさんの文とくすはら順子さんの絵による『じゅうにしのおはなし』は、「まいとし おなじ こよみでは つまらないのう。 そうじゃ、じゅうにの としに、なまえを つけては どうだろう。 うむ、これは めいあんじゃ。」と神様みずから十二支を思いついたことから物語が始まります。そして、龍を呼んで、国中の動物達に集まるように知らせに行かせます。十二支が神様自らの名案であること、龍が神様の御使いを果たしていることがこの絵本の特徴と言えるかもしれません。
その後の集まった動物達に神様が呼びかける言葉はどの絵本も同じです。
ねずみが「かみさま、ぼくのように ちいさくても おうさまに なれるんですか?」と聞く場面に初めて出会いました。神様は、「もちろんじゃとも」と答えます。鹿やパンダ、ブタ、たぬき…十二支に入っていない動物達がたくさん集まっています。パンダを描いたくすはら順子さんのユーモアを感じました。
ねことねずみの会話はおなじみです。にわとりは、夜明けを告げるのを止めました。そして、おおみそかの夜、牛が歩き始めます。ちゃっかり背中に飛び乗った動物はご存知のとおりです。御殿に着くと、牛の背中を飛び降りて、先に門に入るのも…。
その後の十二支の順序がなぜそのように決まったのかは、この絵本を開いてみてください。動物達が走る姿が真剣そのものに描かれていて、絵本から飛び出してきそうな勢いです。
一番に御殿に到着したねずみは、王様から小さな冠をかぶせてもらっています。ところが、絵本の最後には、ねずみは、恐ろしい顔をしたねこから追いかけられています。ねずみは怯えて必死に逃げています。絵本から飛び出しそう。あなたは、ねずみを助けてあげますか? それとも、ねこの味方をしますか?
十二支の由来を幼い子ども達にも分かりやすく語り、動物達の表情をくっきりとユーモアたっぷりに描いた絵本です。お子さんと十二支の由来を楽しんでみてはいかがでしょうか。
『十二支のはじまり てのひらむかしばなし』(岩波書店)
干支は、1300年ほど前に中国から伝えられた暦の表し方ですが、現在の日本では、十二支だけが人々の生活の暦として残り、十干を知っている人は少なくなりました。その十二支の由来も全国的にいろいろなお話が伝えられているようです。
長谷川摂子さんの語りと山口マオさんの版画による『十二支のはじまり』は、てのひらむかしばなしのシリーズの一冊。『かたれ やまんばー藤田浩子の語り』第一集所収の「十二支のはなし」をもとに再話されたことがあとがきに記されています。
始まりがユニークです。「むかしむかしの そのまた むかし、かみさまが どうぶつを こしらえたばかりのころ。」と見開きの題名の下に神様が天地万物創造をなさっている場面から始まっています。
「1月1日の朝、神様の家の前にきたものに1年ずつ年をやる」と聞いて、動物たちは大はりきりで出発します。牛が一番に歩き始めます。ねずみはどこに隠れているのでしょうか。この本では、牛の背中には乗っかっていません。それは、この絵本を読んでからのお楽しみです。
俊足が自慢のとらは、うしのけつっぺたを見て「うおーっ、くやしいーっ」と叫び、それ以来、「とらは、うしのけつっぺたをみると、かぶりつくように、なったそうな。」とユーモアたっぷりの語りとページ一面のうしのお尻ととらの顔に思わず笑ってしまいました。
そして、俊足のうさぎ。「へびと たつは、どうじに もんのまえに ついた」との語りへと続きます。なぜ、たつが先になったのでしょうか。これも、この絵本を読んでからのお楽しみです。
俊足のうまは食いしん坊で、道々草を食べながら歩いています。ひつじ
は、引っ込み思案で、気が弱いから、さんざん迷いながら神様のお屋敷へ向かっています。
さる、とり、いぬ、いのしし…そして、ねこ。十二支に入らなかったねこも含めて十三匹の動物の性質を語りながら、神様のもとに向かう様子を語った絵本です。十二支を語る絵本の中でも、ユニークな存在ではないでしょうか。十二支の由来と動物たちの性質を同時に楽しむことができるてのひらサイズの絵本としてお勧めの一冊です。
『十二支のおはなし』(岩崎書店)
年の暮れに、神さまが言いました。「新年のごあいさつにきなさい。はやいものから順に十二番目まで、一年間ずつその年の大将にしてあげよう」 動物たちは大喜びで、張り切っています。
ねずみに騙されるねこ、前の晩から歩きはじめる牛、牛の背中に乗っかってゆくねずみ、俊足が自慢のとら、うさぎ…空を飛ぶたつ、地を這うへび、さるといぬのけんかの仲裁をしながら行くとり、猪突猛進のいのしし…語りとしては、一般的な十二支の由来ですが、絵がとてもユニークです。
それぞれの動物達がお正月の装いをしています。ねずみは、うしは、とらは…十二匹の動物達とねずみにだまされたねこはどんな装いをしているのでしょうか。それは、この絵本を開いてからのお楽しみです。
十二支のお話の中でも、動物たちの姿がもっともユニークに描かれた絵本ではないでしょうか。お勧めの一冊です
『ね、うし、とら・・・・十二支のはなし 中国民話より』(ほるぷ出版)
機知に富んだ愉快な「十二支のおはなし」にエキゾチックな絵が添えられています。~十二支を日本に伝えた国・中国の民話を通して、十二支の由来を楽しんでみませんか。
『ね、うし、とら・・・十二支のはなし』(ほるぷ出版)は、こちら・bk1へ。
十干支は、1300年ほど前に中国から伝えられた暦の表し方ですが、現在の日本では、十二支だけが人々の生活の暦として残っています。中国では、十二支の順番は、どのようにして決まったのでしょうか。
中国の皇帝陛下の前に、半分人間で半分神様のシュン・ユーと呼ばれる男が座っています。その片側に一匹のねずみがひざまずき、反対側に一匹の牛が立っていました。
シュン・ユーは、新しい十二支のために十二種類の動物を選んだものの、第一番目となる動物を決めかねて、動物たちに意見を聞くことにしました。そのことを気難しい皇帝陛下に頭が膝につくほど深々とお辞儀をしながら説明しています。
その場であわてて進み出た牛は、自分の大きさと力の強さを主張して深々とお辞儀をしました。ねずみも負けてはいません。皇帝陛下の前で、自分の頭の良さを主張します。
皇帝陛下は、「ほかのどうぶつたちは、こよみの中のじぶんの順番にまんぞくしておるのか?」と尋ね、シュン・ユーとうしとねずみが頷くと、それでは他の動物に決めさせるのがよかろうと言いました。
シュン・ユーは、皇帝陛下の仰せの通り、宮殿の庭にいる犬から、門にいるにわとり、湖の橋にいたいのしし、森の中のとら、さる、へび、草原にいる羊、馬、ねずみ…突然現れたりゅうに、次々と尋ねました。半分人間、半分神様のシュン・ユーですら、突然現れたりゅうに驚き、恐れています。中国では、りゅうが特別な存在であることが感じられました。
うしとねずみ以外の動物達は、十二支に加えてもらっただけで満足していると答えつつ、うしかねずみかを問われるとそれぞれの意見を述べ、うしとねずみを選んだ数が同じでした。
報告をするシュン・ユーと皇帝陛下の前で、再びうしとねずみが互いに自己主張をし始めます。うしとねずみの知恵比べです。さて、どのようにして、ねずみが、うしに勝ったのでしょうか。それは、この絵本を読んでからのお楽しみです。
中国の民話にもとづいた「十二支のはなし」は、機知に富んだ愉快なお話です。エロール・ル・カインの絵もエキゾチックで、魅力的です。十二支を日本に伝えた国・中国の民話を通して、十二支の由来を楽しんでみませんか。
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コメント
Yumikoitoさん、初めまして。そして、いらして下さって、とってもうれしいです。私もいつもYumikoitoさんの絵本の書評を楽しみにしています。
わが家は、もう大きくなってしまいましたので、子どもたちが絵本を選んでくるということがなくなり、寂しいです。
4歳のお子さん・・・
一番、読み聞かせを楽しめる時期ではないかしら?思い出してみると、そんな感じがします。
幼い頃は、子どもたちが選んできた絵本を読むのが楽しみでした。もう10数年前のことで今のようにネットが発達していませんでしたから、子どもたちの感性まかせ・・・わが家も、濫読でしたよ(笑)
子どもの感性って、すばらしいなあ・・と今頃になって改めて感じています。思い出の絵本にそんな絵本を書き込みしています。
mixiでも、どうぞよろしくお願いいたします。
Yumikoitoさんに出会うきっかけとなったmixiに感謝です。
投稿 まざあぐうす | 2005/02/08 09:13
こんにちは。bk1での書評、いつも楽しみに読ませていただいています。Mixiの足跡で、もしかしてと思ってやってきたのですがやっぱりまざあ・ぐうすさんでしたね。嬉しいです。
ひさかたチャイルドの「じゅうにしのおはなし」ちょうど今週我が家でも図書館から借りてきたんですよ。
4歳の長男が、テレビの影響で十二支を言えるようになったので興味があったようです。
私は子どもの絵本を選んでやることはせず、子どもが勝手に選んだものを読んでいる状態なので、濫読もいいところ…しかも偏っています。
それでも、まざあ・ぐうすさんの書評を読んでいると、こんな絵本もあるんだなぁ、と嬉しくなります。
これからもよろしくお願いします。
投稿 Yumikoit | 2005/02/08 08:23