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2008/02/25

河合隼雄著『大人の友情』(朝日新聞社)

 「ほんとうの友人とは?」という問いに対して、著者は「夜中の十二時に、自動車のトランクに死体をいれて持ってきて、どうしようかと言ったとき、黙って話に乗ってくれる人だ」というユング派の分析家アドルフ・グッゲンビュールの言葉を引用している。
 冒頭から「友情」を語ることが一筋縄でいかないことを暗示しつつ、「友だちが欲しい」・「友情を支えるもの」・「男女間に友情は成立するか」・「友人の出世を喜べるか」・「友人の死」・「「つきあい」は難しい」・「碁がたき・ポンユー」・「裏切」・「友情と同性愛」・「茶呑み友だち」・「友情と贈りもの」・「境界を超える友情」の12のテーマに基づいて展開される本格的な友情論。軽快な語り口にぐいぐい引き込まれ、友情の何たるかの奥深さを知らされる。

 友情を支えているものは何か?
 なぜ、人は裏切るのか?
 男女間に友情は成り立つのか?など、取り立てて考えたことが無かっただけに興味深く読み進んだ。各テーマごとに著者が読者へ与えるより良い友情を築くためのサジェスチョンが心にやさしく響く。

 同著の魅力として、カウンセラーとしての豊富な臨床例もさることながら、友情という観点から上記の12のテーマに添って文学作品が読み直されている点があげられるのではないだろうか。引用されている作品は、漱石や太宰、武者小路実篤、シェイクスピアに至るまで幅広い。「友情を支えるもの」で引用されている白州正子著『いまなぜ青山二郎なのか』(新潮社)、「境界を超える友情」で引用されている(谷川俊太郎・文)『おばあちゃん』(ぱるん舎)など非常に興味深く、読んでみたいと思った。

 文化庁長官にして臨床心理学の第一人者である河合隼雄氏が、豊富な臨床例と文学作品と自らの人生経験を交えてときほぐす本格的な友情論。
 「あの人がいる」と想うだけで、ほっとできるような関係(103ページ)、常に裏切りの可能性を持つ関係も認めた上で、「やっぱりええやつやな」と感じるのが深い友情ではないだろうか。(133ページ)という著者のざっくばらんな友情の定義に共感を覚えた。
 人生80年と寿命が延びた昨今、著者の説く「茶呑み友だち」(159ページ)の存在が魅力的に思える。そして、最後に著者が述べている「友と友を結ぶ存在としての「たましい」などということに、少しでも想いを致すことによって、現代人の生活はもっと豊かで、幸福なものとなるのではなかろうか。」というアドヴァイスが心に響いた。

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コメント

>SDTMさん

 コメントとトラックバックをいただき、ありがとうございました。

 この記事は、過去の記事を再更新したものです。『大人の友情』は読むたびに新たな気付きが与えられる著書です。

 SDTMさんの芋づる式の読書を楽しませていただきました。いろんな本を通して、河合先生の著書に至る過程が面白いですね。

投稿 まざあぐうす | 2008/03/04 08:00

☆ >山猫編集長へ

  SDTMの場合、河合隼雄さんの著作の出会いも
  一筋縄では行きませんでしたよ。

  なんと、村上春樹さんのジャズ評論からスタートして、
  春樹さんと隼雄さんの対談集を経て、
  「河合隼雄さんって、聞き上手だなぁ~」と思い、
  著作に手を染めたのでした。
  そうしたら、自宅に誰が読んだか判りませんが(多分、妻)
  心理学系の本があったりもし、
  図書館で著作全集を一通り読んでしまいました。
  内容がとダブル本もあって、そんな場合には読み飛ばすことも 
  しばしばでした。

  そんな出会いもあります。きっと山猫編集長にも
  そのうち、神様が配合されて、出会いがあるかもしれませんよ。

投稿 SDTM | 2008/03/03 18:12

 Rokoさん、トラックバック&コメントをいただきありがとうございます。

 本当に考えさせられる本だったと思います。今年読んだ本の中でも心に残る一冊でした。

 Rokoさんのブログにも伺わせていただきます。

投稿 まざあぐうす | 2005/12/06 17:01

まざあぐうすさん☆こんにちは
この本の存在は、まざあぐうすさんのおかげで知りました。
友情ってと考え始めると難しいことばかりですけど、家族と同じように、時には家族以上に大事なものなんですよね。
本当の友達ってことを久しぶりにゆっくり考えることができました。

投稿 Roko | 2005/12/06 12:59

>山猫編集長さん

 再びのコメントを見落としていました。すみません。今頃気がつきました。

 ブルース・スプリングスティーンの「ネブラスカ」、ぜひ、聴いてみたいと思います。教えてくださってありがとうございます♪

投稿 まざあぐうす | 2005/12/05 17:56

再び♪
PS.山崎まさよしさん、お好きなんですよね。
ブルース・スプリングスティーンの「ネブラスカ」は、山崎さんにも共通するものがあると思っています。ギターとハーモニカだけの楽曲で構成されたアルバムなんですね。ぜひ。
歌詞の内容が、いわば河合さんの一部の思いと重なるような気がしたんです。
--(や)--

投稿 山猫編集長 | 2005/11/21 11:09

 山猫編集長さん、コメントをいただきながらレスが遅れてすみません。
 
 私も冒頭の引用が一番衝撃的に心に残りました。編集長さんの直観は当たっていると感じます。同じ内容のことが語られている訳ではありませんが、清濁併せ持つ人間の友情が12のテーマの中でそれぞれに語られています。奇麗事だけではなく、聖俗の俗も清濁の濁も(編集長さんのおっしゃるように人間のすばらしさと愚かさの)全て語ってくださる所が河合隼雄さんの魅力であり、人間的な深さだと思います。

 編集長さんがギター一本で弾き語りなさるのをぜひぜひ聴いてみたいです。全然不快などありませんよ。深いコメントをありがとうございました。

投稿 まざあぐうす | 2005/11/18 23:03

河合 隼雄さんという方をほとんど知らないワタシです。
まざあぐうすさんやら琴音さんやら、その他の方のBLOGでとりあげられていると思うのですが、どうもご縁が無く、河合さんの本にめぐり合わない運命なんです。
誤解をおそれずに感じたままを言います。
冒頭の・・・・・
【「ほんとうの友人とは?」という問いに対して、著者は「夜中の十二時に、自動車のトランクに死体をいれて持ってきて、どうしようかと言ったとき、黙って話に乗ってくれる人だ」】・・・・・
この言葉は、ワタシにとっては核心をついた言葉です。
ブルース・スプリングスティーンの「ネブラスカ」というアルバムがあるんです。その中の、兄弟愛を歌った歌(詩)がワタシはとても好きなのです。(あぁ、ギター1本ですべての曲を演奏しています)
兄が銃で人殺しをしてしまうのですが、警官の弟は国境に立ちつくし、兄がメキシコに逃げるのを見のがしてしまうという歌詞です。
それが愛だという歌です。この背徳的な歌がなぜ好きなのか?
端的に言いますと、人間である、ということだからなのです。
もし、河合さんがそういうこととは違っていることをおっしゃっているとしても、ワタシの直感はそう感じたわけなのですね。
人間のすばらしさもおろかさも、そういう部分にあると思っているのです。(こんな言い方は、不快でしたら許してください)
河合さんの著書も早くワタシのところにやってくればいいんですが・・・。
--(や)--

投稿 山猫編集長 | 2005/11/15 23:36

 ka-3さん、お久しぶり←(笑)です。
 
>人とのかかわりほど、むずかしいものはなく、また人とのかかわりほど、人が求めているものはないように思います。
 痛感します。だからこそ出会った方とのご縁を大切にしたいと思うこの頃です。

>現実の中での友達もそうですが、私はこういったブログを通していろんな方と「つながり」がもてることも大きな支えとなっているのは事実で、そしてそのことに感謝しています。

 ブログを立ち上げる前は、いろいろと不安でしたが、こうしてブログにコメントを下さる方からいろんな刺激を受け、学ばせていただいています。
 無機質なネットという媒体を通してですが、こうして出会えることに私も心から感謝しています。

 「めんどりヒルダ」のシリーズにもコメントいただき、ありがとうございました。重ねてお礼申し上げます。


投稿 まざあぐうす | 2005/11/14 19:09

まざあぐうすさま
お久しぶりです。人とのかかわりほど、むずかしいものはなく、また人とのかかわりほど、人が求めているものはないように思います。
最近町田市で起きた少年の凶悪事件も、人との「つながり」を求めるあまりに起こしてしまった結果であるようで、胸が痛みます。
河合隼雄さんの本は私もいくつか読みましたが、この本も、河合さんらしい人とのかかわりについて優しく語ってある本のようですね。是非今度読んでみたいと思いました。
やはり、人はひとりでは生きていけないイキモノなのだと思います。誰かに支えてもらわないと、不安で仕方がない・・・そういう友達って本当に必要ですよね。
現実の中での友達もそうですが、私はこういったブログを通していろんな方と「つながり」がもてることも大きな支えとなっているのは事実で、そしてそのことに感謝しています。

投稿 ka-3 | 2005/11/14 10:17

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