(佐藤初女著)『おむすびの祈り 「森のイスキア」こころの歳時記』(集英社文庫)
著者である佐藤初女さんは30年も前から自宅を開放し、心を病んだ人、苦しみを抱えた人たちを受け入れて来ました。その季節に採れる新鮮な素材の手料理とおむすび、そして、黙って傍らに座る著者によって多くの人が癒され、励まされました。
そんな著者を慕う人たちの奉仕や寄付によって、霊峰岩木山の麓に「森のイスキア」という憩いと安らぎの場が開設されました。
第一章 冬 いのちへの気づき
第二章 春 人生の種蒔き
第三章 夏 心で生きる
第四章 秋 希望の鐘
著者の生い立ちから「森のイスキア」開設に至るまでの日々や「森のイスキア」の四季を巡る「食」「信仰」「出会い」が美しい写真とともに紹介されています。各章に<佐藤初女さんへの手紙>が一通ずつ引用されています。
「耐えがたきを耐え
忍びがたきを忍び
許しがたきを許し
あたたかい太陽を思わせるやさしい言葉
冬のきびしい寒さにも値する愛情ある助言
慈しみの雨のように涙を流しては共感する
なごやかな風を思わせる雰囲気
それが母の心
佐藤 初女」
巻頭の言葉に著者の生き方が集約されていますが、一冊を読み終えた時、一人一人のいのちを、また、どの食材のいのちをも限りなく慈しむ著者の姿が浮き彫りにされ、著者の命への慈しみにあたたかく包まれ、命への気づきを促されます。
食という日常の営みを通して人生を深く見つめなおすことができる一冊です。

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