10歳になるエルッキ・セッパラは、感謝祭から「もうじきクリスマスです。どうぞ、とびきりすてきなクリスマスにしてください。」と毎晩祈り続けていました。セッパラ家は、長男で船乗りのマッティ、町のパン屋で働いている金髪のセイマ、16歳になる丸顔のミッコ、12歳になるものしずかなアイリ、7歳になる弟のアーニ、5歳になる双子のエラナとエノ、3歳のラウリ、そして、赤ん坊のアンナの大家族でした。
赤いチェックのテーブルクロスのかかった大きなテーブル、テーブルクロスと同じ赤いチェックのカーテンのかかった窓、台所の隅には大きな黒い石炭のストーブがあり、そのそばに揺り椅子が二つ・・・セッパラ家の台所は、いつもパンやパイを焼く香ばしい匂いやシチューの煮える美味しい匂いに満ちています。台所はいつも家族でにぎやかでした。
そんな台所に、思いがけない知らせが届きます。いつもきょうだい達に、わくわくするようなクリスマスのプレゼントを抱えて帰宅するはずのマッティの船が行方不明に・・・。
マッティひとりいないだけで、からっぽでひっそりとした感じになってしまったセッパラ家の台所でしたが、気持ちを取り直したお母さんが、「クリスマスってどういう日だか、わすれていたようね。」と言い、「クリスマスをお祝いしないなんて、おかしいわね。」と言います。
再び、揺り椅子に座って、編み物を始めたお母さん、モミの木を切りに行くお父さんとエルッキとミッコ、そして、10歳のエルッキが兄のマッティに代わって、密かに物置で、クリスマスのプレゼントを準備し始めます。
クリスマスの日の朝、セッパラ家の台所は、コーヒー・パンと、ミンス・パイを焼くいい匂いがしていました。マッティが家に帰れるようにと願いを込めて、台所の窓辺に、白いろうそくを立てました。お父さんとエルッキがクリスマスツリーを居間に運び、お母さんが10組のミトンを吊るします。さて、エルッキが準備したプレゼントはどんなものでしょう。そして、兄のマッティの行方は・・・?
作者のリー・キングマンさんのご主人のフィンランドの大家族がモデルとなって生まれたお話です。アメリカを代表する絵本作家のバーバラ・クーニーさんの白黒の挿絵がとびきりすてきです。
「クリスマスは、プレゼントをもらうだけの日じゃない。イエスさまのお誕生日なんだよ。だから、だいじなのは、プレゼントをあげたいとおもう心なんだ。」というお父さんの言葉が心に残りました。つつましく暮らす一家の喜びも悲しみも分かち合うクリスマス、本当のクリスマスって何だろうということを原点に戻って考えさせてくれるあたたかなお話です。
以上、「ほのぼの文庫」管理人の<まざあぐうす>が、bk1に投稿して掲載された書評です。
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