2008/03/05

ターシャ・テューダー『もうすぐゆきのクリスマス』(メディアファクトリー)

 丘をたくさんこえた、そのまた向こうにねずみたちが走り回り、壁にきつつきがたくさん穴を開けている古い古い家がありました。

 古い家に住む子どもたちセスとべサニーとマフィンは、クリスマスが近づいている静かな冬の夜、暖炉の火でリンゴを焼き、おばあさんの昔ばなしに耳を傾けています。おばあさんの声とともに聞こえてくるのはねずみの足音。

 クリスマスがくるまで、子どもたちは学校や家や自然の中でどのように過ごすのでしょう。森の小みちやウィンスロップの丘や小川でにぎやかに遊んでいるうちに季節は少しずつ移ろってゆきます。

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ターシャ・テューダー『クリスマスのまえのばん』(メディアファクトリー)

 『クリスマスのまえのばん』は、神学者、そして、文筆家であるクレメント・クラーク・ムーアが、自分の子どもたちのために、オランダの伝承とそのお祭りを元として作ったA Visit from St. Nicholasという詩にターシャ・テューダーがイラストを添えた絵本です。

 原詩は、今から180年ほど前のアメリカで発表されて以来、「八頭立てのトナカイに乗ってやってくる小人のサンタクロース」というイメージが定着したと言ってもいいほど有名な詩です。

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2007/12/31

(津田直美・著)『セーターになりたかった毛糸玉』(ブロンズ新社)

 夜、お客さんが帰った後の手芸店の片隅に置かれた毛糸玉
 この絵本は、そんな毛糸玉の心の声に耳を傾けることから始まります。

 マフラーになりたい青年毛糸、しましまの帽子になろうと約束を交わした恋人毛糸、このまま毛糸で一生を送ってやるわいといじけている老いぼれ毛糸、何とかしてセーターになれるように誰かが買ってくれるのを待っている10個の赤い毛糸玉たち。

 毛糸玉たちの一番のあこがれはセーターになること。

 ある日、願いがかなってセーターを編むために毛糸を買いに来たおばあさんに10個の赤い毛糸玉たちは買われてゆきました。
 5個の毛糸玉はセーターの胴体に、3個の毛糸玉はセーターのそでに、残りの毛糸玉は、セーターのみごとな胴体とそでをとりかこむ美しいゴム編みに・・・ところが、1個だけを残してセーターはできあがってしまいました。

 たったひとつ残った毛糸玉は、余り毛糸の箱の中に入れられ、わが身の不運を嘆きました。「考えるだけ無駄なことだ」と他の毛糸玉は言いますが、赤い毛糸玉は、どうしてもセーターになる夢を捨てることができませんでした。
 長いこと忘れられている毛糸玉たちのつぶやきが聞こえますか?

 次の日、おばあさんから箱から取り出したのは赤い毛糸玉。
 誰より先に箱から出してもらえたことを喜んだ赤い毛糸玉でしたが、おばあさんが編み上げたのは、セーターではなく、小さな手袋だったのです。誰がなぐさめてくれても涙が止まりませんでした。
 
 ところが、決して夢をあきらめなかった毛糸玉が数奇な運命の果て、とうとうセーターになることができるのです。

 さまざまな試練に出遭いながらも、決して夢をあきらめなかった赤い毛糸。夢は、自分の思った通りに叶ってゆくものではなく、夢を持ち続ける意志によって叶ってゆくものなのでしょうか。最後のページの赤い毛糸の笑顔は、夢が叶ったしあわせに満ちています。

 健気な赤い毛糸から、あきらめずに夢を持ち続けることの大切さを教えられました。小さな手袋が一体どうやってセーターになったのでしょう。知りたい方は、ぜひ、この絵本を開いてみてください。

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(リー・キングマン・著/バーバラ・クーニー・絵)『とびきりすてきなクリスマス』

 10歳になるエルッキ・セッパラは、感謝祭から「もうじきクリスマスです。どうぞ、とびきりすてきなクリスマスにしてください。」と毎晩祈り続けていました。セッパラ家は、長男で船乗りのマッティ、町のパン屋で働いている金髪のセイマ、16歳になる丸顔のミッコ、12歳になるものしずかなアイリ、7歳になる弟のアーニ、5歳になる双子のエラナとエノ、3歳のラウリ、そして、赤ん坊のアンナの大家族でした。
 
 赤いチェックのテーブルクロスのかかった大きなテーブル、テーブルクロスと同じ赤いチェックのカーテンのかかった窓、台所の隅には大きな黒い石炭のストーブがあり、そのそばに揺り椅子が二つ・・・セッパラ家の台所は、いつもパンやパイを焼く香ばしい匂いやシチューの煮える美味しい匂いに満ちています。台所はいつも家族でにぎやかでした。

 そんな台所に、思いがけない知らせが届きます。いつもきょうだい達に、わくわくするようなクリスマスのプレゼントを抱えて帰宅するはずのマッティの船が行方不明に・・・。

 マッティひとりいないだけで、からっぽでひっそりとした感じになってしまったセッパラ家の台所でしたが、気持ちを取り直したお母さんが、「クリスマスってどういう日だか、わすれていたようね。」と言い、「クリスマスをお祝いしないなんて、おかしいわね。」と言います。
 再び、揺り椅子に座って、編み物を始めたお母さん、モミの木を切りに行くお父さんとエルッキとミッコ、そして、10歳のエルッキが兄のマッティに代わって、密かに物置で、クリスマスのプレゼントを準備し始めます。

 クリスマスの日の朝、セッパラ家の台所は、コーヒー・パンと、ミンス・パイを焼くいい匂いがしていました。マッティが家に帰れるようにと願いを込めて、台所の窓辺に、白いろうそくを立てました。お父さんとエルッキがクリスマスツリーを居間に運び、お母さんが10組のミトンを吊るします。さて、エルッキが準備したプレゼントはどんなものでしょう。そして、兄のマッティの行方は・・・?

 作者のリー・キングマンさんのご主人のフィンランドの大家族がモデルとなって生まれたお話です。アメリカを代表する絵本作家のバーバラ・クーニーさんの白黒の挿絵がとびきりすてきです。
 
 「クリスマスは、プレゼントをもらうだけの日じゃない。イエスさまのお誕生日なんだよ。だから、だいじなのは、プレゼントをあげたいとおもう心なんだ。」というお父さんの言葉が心に残りました。つつましく暮らす一家の喜びも悲しみも分かち合うクリスマス、本当のクリスマスって何だろうということを原点に戻って考えさせてくれるあたたかなお話です。

以上、「ほのぼの文庫」管理人の<まざあぐうす>が、bk1に投稿して掲載された書評です。

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2005/12/14

クリスマスの本 NO.6 (ポール・ギャリコ・文/矢川澄子・訳)『「きよしこの夜」が生まれた日』(大和書房)

 クリスマス・イブになると世界中で歌われる賛美歌の定番「きよしこの夜」がどんな経緯で作られ、世界中に知られるようになったのかご存知ですか? 

 「きよしこの夜」の誕生秘話を物語風につづったドキュメンタリーがあります。作者は、『雪のひとひら』や『さすらいのジェニー』で有名な作家ポール・ギャリコ。

 1818年12月23日の真夜中、オーストリアのオーベルンドルフの町の聖ニコラ教会のオルガンが一匹の鼠によって齧られました。
 翌朝、教会にやってきてオルガンの練習を始めたフランツ・グルーバーは、オルガンの音が鳴らないことに気がつきました。
 グルーバーは、学校教師で教会守、そして、オルガン奏者でした。 ミサは迫っています。修理は到底間に合いません。そこで、急遽、新たな試みとして、ギターで歌える歌を作ることにしました。作詞者は、聖ニコラ教会の若き聖職者のヨゼフ・モール、音楽家でもあり、ニコラ教会の終身司祭であるヨゼフ・ノストラーの助任司祭を務めていました。

 グルーバー先生とモールは、親友同士です。モール司祭は、見たところいささか無責任な若者、いつも冗談か鼻歌ばかり口にのぼせていて、真面目な思想など無縁な存在に思えましたが、手渡された詩は、不思議な力を持って訴えかけてくるものがありました。
 「このふしぎに訴えかけるような力強さはどこからもたらされるのか」グルーバー先生は、モール助任司祭から手渡された詩の不思議な力(一種催眠術的な効果)に導かれるかのように曲を作りました。そして、聖歌隊によって歌われることになりました。

 クリスマスの夜、教会に集った村の人たちは、 生まれてはじめて、オルガンなしの礼拝を経験しました。 村の人たちに賛否両論あったものの、ギターとともに聖歌隊が歌うこの賛美歌のシンプルな歌詞とメロディーの美しさは深い感動を呼びました。

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2005/12/13

(クレメント・ムーア・文/トミー・デ・パオラ・絵)『あすはたのしいクリスマス』(ほるぷ出版)

 『あすはたのしいクリスマス』は、神学者、そして、文筆家であるクレメント・クラーク・ムーアが、自分の子どもたちのために、オランダの伝承とそのお祭りを元として作ったA Visit from St. Nicholasという詩にトミー・デ・パオラがイラストを添えた絵本です。
 原詩は、今から180年ほど前のアメリカで発表されて以来、「八頭立てのトナカイに乗ってやってくる小人のサンタクロース」というイメージが定着したと言ってもいいほど有名な詩です。
 クリスマスを楽しみに子ども達が寝静まった頃、小さな八頭のトナカイとやってくる小人のサンタクロース、八頭のトナカイの名前が「ダッシャー・ダンサー・プランサー・ヴィクスン・コメット・キューピッド・ドンダ-・ブリッツェン」と詩の中で呼ばれているところなど、原作者であるムーアの細やかな心遣いを感じます。そして、サンタクロースに出会うのが子ども達ではなく、大人である「とうさん」であることも、子どもの頃、サンタクロースを信じていた「とうさん」に再び夢を見せてくれるムーアの思いやりでしょうか。愛と喜びと神秘に満ちた詩です。

 同じ詩による絵本は、日本でも数冊翻訳され出版されていますが、お勧めはターシャ・テューダーの『クリスマスのまえのばん』とトミー・デ・パオラによるこの絵本ではないでしょうか。

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クリスマスの絵本 NO.5 マーガレット・ワイズ・ブラウンの作品

 今日は、(バーバラ・クーニー・絵)『うまやのクリスマス』と(ベニ・モントレソール・絵)『クリスマス・イブ』を読みました。いずれもマーガレット・ワイズ・ブラウンの作品です。バーバラ・クーニーも多くのクリスマス絵本を手がけ、すばらしい絵本を創り出していますが、マーガレット・ワイズ・ブラウンの遺作が「クリスマス・イブ」であり、また、フェリックス・ホフマンの遺作が「クリスマスのものがたり」であることに、芸術家たちのキリスト教に寄せる敬虔な思いを感じさせられます。

 クリスマスは、キリスト教徒にとって一年で最も大切な日、そして、子ども達にとっては一番楽しい日。
 クリスマスの前の晩、明日のクリスマスが楽しみなのでしょう。子ども達は、となかいやキャンディーやお星様や天使や3人の博士たちのことが目に浮かんで、真夜中になっても、眠れません。
 「ねむるまえに みんなで したへいって クリスマス・ツリーにさわって おねがいごとをしよう」とベッドから抜け出して、そうっと階段を降りてゆきます。

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2005/12/10

クリスマスの本 NO.4

 風邪を引いてしまい、更新が滞ってしまいましたが、引き続きクリスマス関係の児童書を読んでいます。

 「ながれぼしをひろいに」「サンタクロースっているんでしょうか?」は、何度読んでも心が洗われます。目に見えないものを信じる気持ちって、生きていく上で大切なのではないかなと改めて思います。

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2005/12/03

クリスマスの絵本 NO.3

 引き続きクリスマスの絵本を読んでいます。

 秀逸は、バーバラ・クーニーがイラストを描いている「とってもふしぎなクリスマス」( ルース・ソーヤ ・ほるぷ出版) と「おもいでのクリスマスツリー」(グロリア・ヒューストン・ほるぷ出版) だと思いました。

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2005/11/30

フェリックス・ホフマン『クリスマスのものがたり』(福音館書店) クリスマス絵本 NO.2

 クリスマスに関する絵本を読んでいます。まだまだたくさんありますが・・・。

 これまでに感想をアップしたクリスマスの絵本は、こちらです。

クリスマス絵本の最高傑作と言えば、この絵本ではないかと思います。

 スイスで活躍し、世界的にも有名な絵本作家であるフェリックス・ホフマンの遺作となったクリスマスの物語。

 大天使ガブリエルによる受胎告知に始まり、エジプトへの逃避行、そして、ナザレへの帰郷に至るまでが、聖書の記事(マタイによる福音書2:1~23、ルカによる福音書1:26~40)に基づき忠実に描かれています。

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もうすぐクリスマス・・・初めてのクリスマス絵本 No.1

 もうすぐクリスマス・・・クリスマス関係の絵本を読みながら、幼い子ども達にクリスマスを語るための絵本として、これがぴったりかなと思いました。

 うさぎのミッフィーシリーズで有名なディック・ブルーナが、聖書の記事に基づいて語るイエス・キリストの生誕物語。羊飼いと羊、天使、馬屋と星、ヨセフとマリア、みどりごのイエス様、そして、東方から来た三人の博士の絵だけが描かれています。
 クリスマスは、神様のひとり子イエス様が生まれ日であること、そして、その誕生をお祝いする日であることが短く分かりやすく語られています。シンプルな絵と聖書に忠実なストーリーが魅力の絵本です。

 聖書のお話を理解するのが難しい3歳未満の幼い子ども達にクリスマスの由来や意味を語る時、ぴったりの絵本ではないでしょうか。初めてのクリスマス絵本としてお勧めします。

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2005/01/08

(黒井健)『あのね、サンタの国ではね・・・』(偕成社)

サンタクロースの一年がほんわかとあたたかく描かれている絵本~サンタクロースを信じている子ども達に一年を通して読んであげたい絵本です。
anonesantanokunidehane『あのね、サンタの国ではね・・・』は、こちら・bk1へ。

 私の息子がサンタクロースがいると本当に信じていた頃、くり返し読んだ絵本があります。『サンタクロースと小人たち』と『ぐりとぐらのおきゃくさま』です。今では、ぼろぼろになってしまい、本のところどころにセロテープが貼られています。そして、幼い息子の書き込んだひらがなもあり、手垢も残っています。
 
 その息子から、お正月に「サンタさんって、今頃、何しているのかな?」と聞かれたことがありました。『サンタクロースと小人たち』の絵本を取り出して、ページをめくり、サンタクロースたちが食事をしている絵を指差して、「ここで、きっと新年のおごちそうを食べて、クリスマスの疲れをとっているところよ。新年のごあいさつもしていると思うわよ」とお話をしました。「じゃあ、サンタさんも「鬼は外」ってやるの?」と次々に、疑問が続きました。当時、『あのね、サンタの国ではね…』に出会っていたら、きっとくり返しくり返し読んでいただろうなあ…と思います。

 1月のサンタクロースは、新年のご挨拶を交わし、どうやら新年会らしいパーティを開いています。2月は、そして、3月は…という具合に続きます。トナカイの学校の入学式あり、サンタクロースの体力測定あり、日焼けしたサンタクロース…サンタクロースたちの一年間が描かれ、語られている絵本です。

 私は、サンタクロースの存在を信じることができる子ども時代のわずかな時間を大切にしてあげたいと思いながら、二人の子ども達を育てて来ました。14歳になった息子は、今、ゲームに夢中です。サンタクロースの乗るトナカイの鈴の音は、もう聞こえていないでしょう。でも、きっと心の奥底にサンタクロースの絵本の読み聞かせをした母親の私の声が残っていると信じます。
 息子が出会えなかった素敵な絵本だけに、ぜひ一人でも多くのサンタクロースを信じている子ども達に出会って欲しいと思います。北の果てに住んでいるサンタクロースがほんわかとあたたかく描かれていて、サンタクロースが身近に感じられます。一年間を通して、読む絵本の一冊としてもよいのではないでしょうか。

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