2006/05/25

欧州絵本史と日本の児童文学史を学んで

 『ほるぷクラシック絵本』を再び借りてきて読んでいました。

Horupuclassicehon  ユーゲント様式を代表する絵本作家クライドルフの『花のメルヘン』と『フィッツェブッツェ』の絵が素敵です。花や草や虫や動物たちが生きる自然の世界をとらわれない目で見て、その中に入っていこう。そんな自然への新しい見方から生まれて様式です。

  いずれも1900年ごろに創られた絵本ですが、芸術的完成度の高い美しい絵本です。『フィッツェブッツェ』は、ドイツ絵本を代表する世界的ベストセラー『もじゃもじゃペーター』の教育的意図に対抗して、芸術的効果により、子ども達をただ楽しませることだけを目的にして創作された絵本です。前者が「芸術的な絵本」として、後者は「子どもの立場からの文学」として、子どもの本の歴史に転換期をもたらした先駆的作品です。

 『ほるぷクラシック絵本』復刊特集ページはClick!

もじゃもじゃペーター
ハインリッヒ・ホフマンさく / ささき たづこやく
ほるぷ出版 (1985.9)
通常1-3週間以内に発送します。

  通信講座で、1658年に出版されたヨハン・A・コメニウスの『世界図絵』に始まる欧州の絵本史を学び、ほるぷクラシック絵本を読み、絵本の芸術性の高さを感じています。その絵本芸術の背景には、古代ギリシア以来の児童観により、子どもの感性、感覚を大切に育てるという思想があることを知り、日本の児童文学史との大きな違いを感じています。

  社会思想を通して、子どもの世界が大人の世界とリンクしていること、絵本が、その時代の画家、作家、編集者、出版人、彫り師、印刷技術者の総力をあげて芸術作品として生み出されていることにうらやましさを感じてしまいます。

  『クシュラの奇跡』という本に出会い、20歳になる知的な障害を抱えた娘を育ててきましたので、絵本が子どもの成長にいかに大切な存在であるかを日常生活レベルでも実感しています。日本でも絵本が芸術作品として高められてゆくこと、児童観、教育観の見直しがされることを心から望んでやみません。

 『クシュラの奇跡』は、こひつじ文庫のマーガレットさんもご推薦なさっています。Click!

クシュラの奇跡
ドロシー・バトラー著 / 百々佑利子訳
のら書店 (1985)
通常2-3日以内に発送します。
クシュラの奇跡
ドロシー・バトラー著 / 百々 佑利子訳
のら書店 (2006.3)
通常24時間以内に発送します。

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2006/04/09

『ジャンヌ・ダルク』(M・ブーテ・ド・モンヴェル・作/矢川澄子・訳)

 百年戦争の後期、フランスの解放を神に託されたと信じ、シャルル七世から授かった軍隊を率いてオルレアン城の包囲を解くなどフランスの危機を救った少女ジャンヌ・ダルクを描いたモンヴェルの最高傑作絵本。

Horupuclassicjannudaruku  わずか18歳にして国民的英雄となったジャンヌ・ダルクはドンレミイというフランス東部の小さな農村の娘でした。
 若き乙女ジャンヌ・ダルクの純真さ、美しさが繊細に穏やかな色調で描かれています。

 当時の王侯貴族の絢爛な様、英仏軍の戦いの有様、ジャンヌ・ダルクを囲む民衆の表情、宗教裁判の非情な様、監獄の中の悲惨さ、夢に現れる聖女の美しさ・・・ジャンヌ・ダルクが勇敢に闘った後、イギリス軍の捕虜となり、生きながら火あぶりの刑に処されるまでの全てが動きを伴い、まるでお芝居の一場面を観るように描かれています。

 一冊の絵本を通して、ジャンヌ・ダルクの勇気とひたむきな信仰が感じられる、洗練された美しい絵本です。

 
 ジャンヌ・ダルクが勇敢にイギリス軍と闘った地オルレアンは、モンヴェルの生まれ故郷でもあり、特別な思い入れがあったのでしょう。モンヴェルの作品の中で最高傑作と評されています。同時代のイギリスの絵本作家ケイト・グリーナウエイやウォルター・クレインの影響を受けつつも、穏やかな色調と慎み深い表現がモンヴェル独自の魅力となっているのではないでしょうか。


 表紙がクロス張りの豪華な絵本です。現在絶版となっていますが、歴史絵本としても、芸術性の高い絵本としても復刊の価値のある絵本であると信じます。多くの子ども達に読み継いで欲しい絵本としてお勧めします。

 復刊ドットコムにリクエストが出ていました。Click!

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ほるぷクラシック絵本(イヴァン・ビリービン・絵/たなかやすこ・訳))『うるわしのワシリーサ』

 ほるぷクラシック絵本をこの1ヵ月ほどかけて味わっていますが、その中でもとりわけ美しいのがイヴァン・ビリービンの『うるわしのワシリーサ』です。絵本が出版されたのが20世紀初頭の1902年。

 法律学を学ぶかたわら、絵画学校に通ったビリービンは、バレエの舞台装置や衣装デザインをてがけるかたわら、ロシアの昔話や童話のイラストを描き、芸術性の高い作品を遺しています。

Horupuclassicuruwashinowashirisa  物語の主人公は、美しいワシリーサという女の子。
 8歳の時に母親に先立たれたワシリーサは、意地の悪い継母に引き取られ、二人の連れ子と継母の三人からひどい仕打ちを受けながら働かされますが、実母から授かった魔法の人形がワシリーサを救います。

 ロシアの魔女(鬼婆)ババ・ヤーガが登場し、ロシアの森を背景に繰り広げられる物語。『うるわしのワシリーサ』はロシア版シンデレラ物語と謳われているロシア昔話です。

 ビリービンは、本の一ページ一ページを表現の重要なフレームと見なし、縁飾りやレタリングとイラストレーションを一体化させて、本全体を一つの独立した芸術世界としています。
 非常に美しい大型絵本です。

 復刊ドットコムにリクエストが出ていましたので、早速投票しました。投票ページClick!
 

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2006/04/06

ほるぷクラシック絵本

 児童文学基礎講座で欧州の絵本史を学び、絵本の歴史が、作家、挿絵画家、彫版家、出版人、編集者たちのたえまない努力と印刷技術の発展により築かれてきたことを知りました。

 講座テキストで紹介されていた「シリーズほるぷクラシック絵本」16冊を図書館から借りてきて読んでいます。貸し出し期間を二度延長して、1ヵ月ほどかけてじっくり読みました。

 残念なことに、シリーズ16冊の中で現在購入できる絵本は『もじゃもじゃペーター』と『窓の下で』の二冊だけです。どの絵本も丁寧に創られていて、美しいのが特徴です。

続きを読む "ほるぷクラシック絵本"

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