2006/03/25

「読み継がれる童話 アンデルセン生誕200年展」@凸版印刷・印刷博物館

 童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンが、1805年4月2日デンマークのオーデンセで生を享けて200年。アンデルセンの生誕200年を記念して開催中の「アンデルセン生誕200年展」に行って来ました。
 
 アンデルセンの使っていたペンやインク壺、旅の時に愛用したトランク、等身大のアンデルセン、アンデルセンを巡る人々の肖像画、アンデルセン自らが描いたオーデンセの街やコペンハーゲンのスケッチ、アンデルセンが得意だった切り絵・・・

 その一つ一つを見ることを通して、日本からは遠い国デンマーク、200年もの時を経て、アンデルセンという詩人であり、童話作家であった一人の人物が身近に感じられるようでした。

 アンデルセンの読み聞かせの物語が、ヨーロッパに本として印刷されたのは19世紀です。アンデルセン童話がデンマークをはじめ、諸外国でどのように印刷物として童話本となっていったかーデンマーク語版から英語、ドイツ語版の挿絵や装丁を実物の本を通して見ることが出来ました。
 日本ではじめて翻訳されたのは1888(明治21)年のことですが、当時の翻訳本、英語のテキスト、雑誌が個人所蔵のものも含めて時代ごとに展示されています。日本でアンデルセン作品がどのように受け入れられ、普及していったかが一望できる展示でした。
 「不思議の新衣装」「新竹取物語(一名指子姫)」「反魂鳥」「大九郎小九郎」・・・当時の日本語訳に苦笑しながら、幼い頃読んだアンデルセンの絵本も展示されていて、思いがけずなつかしい思いに浸りました。
 
 童話本として普及するためには印刷技術の進歩が欠かせません。また、画家の存在があり、翻訳の力あり・・・文学、さし絵、装丁、いずれもその時代の魅力にあふれています。
 国を超えて、時代を超えて、世界中で200年の年月を読み継がれてきたアンデルセンの作品の魅力を改めて感じさせられました。

 アンデルセン生誕200年を記念し、画家13人が描いた記念絵本。 角野栄子さんの名訳による全13冊の原画と絵本が展示されています。一冊一冊を手にとって読むことができ、すごく得した気分でした。

 アンデルセン作品のファンにはぜひお勧めの展示会です。

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2006/02/09

(ルーマ・ゴッテン著/山崎時彦・中川昭栄訳)『アンデルセン 夢をさがしあてた詩人』(あすなろ書房)

 子どもの頃くり返し読んだアンデルセンの童話を大人になって読み直してみると、子どもの頃の新鮮な感動が甦ると同時に、子どもの頃には感じることができなかった人生の知恵や弱者への愛、詩やユーモアを行間に読み取ることができて、深い味わいがあります。
 最近『完訳 アンデルセン童話集』(岩波文庫)の全7巻を読みました。“完成された形式”、それぞれの物語に流れる詩情、文体のもつはつらつさ・・・アンデルセンの童話には他の作家には見られない特徴があります。童話作家として不動の世界的名声を得たアンデルセンですが、その生涯は決して恵まれたものではありませんでした。
 

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2004/12/01

アンデルセンの『はだかの王さま』(角野栄子再話・こみねゆら絵)(小学館)

hadakanoousama

美しい王さまが、さらなる美しさを求めて、新しくて、きれいな服を欲しがる物語、イラストによって、物語が新たな様相を帯びています

 私が幼い頃に読んだ『はだかの王さま』の絵本は、でっぷりとお腹の出た滑稽な王さまでした。醜い王さまが、はだかのままで行列の中で歩くとき、幼い子どもに「王さまは、はだかんぼう」と言われる時の快感、「王さまより、私たち、子どもの方が賢いんだ」と思う時の快感は、王さまの滑稽さが煽っていたような気がします。
 角野栄子さんの再話、こみねゆらさんのイラストによるアンデルセンの絵本『はだかの王さま』は、ハンサムで、すらりと背が高い王さま、実に、美しい王さまです。王さまも大臣も家来も、そして、王さまを騙すペテン師までもがハンサムに描かれています。
 美しい王さまが、さらなる美しさを求めて、新しくて、きれいな服を欲しがる物語、イラストによって、物語が新たな様相を帯びています。200年近く読み継がれて来たアンデルセンの物語の様相を変えてしまったのは、画家のこみねゆらさんの美意識によるものではないでしょうか。王さまのお部屋の床の模様から、絨毯やカーテン、テーブルや椅子、ソファーに至るまで、繊細に描き出されています。全てに美意識が満ちています。
 はだかの王さまとは言え、行進する王さまが、美しいシャツとパンツを着ているところが何とも言えません。まるで絹のキャミソールのようです。王さまが裸であると分かってからも、気位の高い表情を崩さずに堂々と歩く姿に独特の美しさがかもし出されています。
 こみねゆらさんのイラストで初めて『はだかの王さま』を読む子どもたちが抱く王さまのイメージは、どんなものでしょう。大人になったあなたも、もう一度、こみねゆらさんの描く美しい王さまと出会ってみませんか。

 『はだかの王さま』は、こちら・bk1へ

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