2008/01/14

講談社翻訳絵本・クラッシックセレクションのご紹介

 私は猫や犬が大好きなのですが、住居の関係で、猫や犬を飼う事ができません。かわいい猫や犬に出会いたくて、巡り会った絵本が『こねこのミトン』でした。翻訳者の劉優貴子さんの日本語がとても素敵でしたので、講談社翻訳絵本・クラッシックセレクションの劉優貴子さんの翻訳絵本を紹介させていただきます。

「お母さん大好き!」

 下の子が中学生になってから、14年間続けてきた絵本や童話の読み聞かせをすることが自然消滅していました。かわいいイラストに惹かれて開いた一冊。一人で読むにはもったいないくらい。久しぶりに18歳の娘と14歳の息子に読み聞かせをしてみました。
 動物が大好きな娘は、「あひるのこ」が出会う一つ一つの動物に「かわいい!」と感動の声を上げ、身長が180センチ近くになった息子は思春期特有の突っ張った表情を崩さないまでも、心の耳を傾けていることがわかりました。
 最後に、ひとりお散歩に出て迷子になった「あひるのこ」がお母さんあひると出会うシーンに二人ともほっとしたような表情を見せていました。
 「お母さん大好き!」と言えない年頃の娘や息子から、そんな声を聞いた一冊です。
 翻訳者の劉優貴子さんの言葉の運びがリズミカルで、やさしい響きが絵本に新たな魅力を加えているように思います。小さなお子さんから大人まで、お勧めの素敵な絵本です。

世界にたった一匹だけのねこ、ミトンだけが僕のねこ

作者のクレア・ターレー・ニューベリーは猫が大好きでした。幼い頃から絵を描き続け、6歳にして画家になることを決意したそうです。アメリカやフランスで絵を学びました。
 とりわけ猫の絵にこだわって描き続け、出来上がったのが「こねこのミトン」です。5歳のリチャードが猫がどうしても欲しくて買ったこねこは、手袋のような手をしていましたので、ミトンと名づけられました。
 ところが、ある日、いなくなってしまいます。
 新聞に載せたり、家族中で探しますが、見つかりません。いろんな人が、この猫ではありませんか?と次々に猫を連れてきますが、どれもミトンではありません。また、この猫を代わりに飼いませんか?と連れて来る人もいました。しかし、リチャードにとって、猫は世界にたった一匹、どうしてもミトンでなくてはならなかったのです。
 わが家にもシャムネコがいました。二度いなくなりました。一度目は、飼い犬のスピッツの白ちゃんの犬小屋で白ちゃんにくるまれるようにお昼ねをしていました。2度目は、春の恋の季節に遠くに行ってしまい2週間ほど姿を見ることができませんでした。やはり必死で探しました。見つかった時の喜びは、それはそれはうれしいものでした。やはり私にとって、世界にたった一匹の猫だったからです。
 ミトンは見つかりました。そのエピソードは、この絵本を読んでのお楽しみです。絵本の中には、ミトンをはじめ、たくさんの猫が描かれていますが、どの猫も毛並みから表情、仕草…繊細に描かれていて、猫好きな方にはたまらなく可愛いイラストです。ニューベリーの描く猫をたっぷり可愛がってあげて下さい。

バーキスという一匹の犬を通して姉と弟が心を交し合う暖かい物

  翻訳者の劉優貴子氏は、クレア・ターレー・ニューベリーの復刻を記念した出版フェアが開かれているボストンのお気に入りの書店でこいぬのバーキスと出会いました。
 劉氏は「こねこのミトン」に続き、ニューベリーの本を日本の子どもたちのために翻訳しました。1938年に出版された本ですが、今の子どもたちの心に通う暖かいまなざしを感じる一冊です。
 弟のジェームズの9歳の誕生日におじさんから贈られたコッカスパニエルのバーキス、ジェームスは、バーキスを独り占めしようとして姉のネル・ジーンと大喧嘩をします。その原因は姉のネル・ジーンにもありました。ネル・ジーンの飼っているこねこのエドワードをネル・ジーンが独り占めしていたからです。
 ところがある日、ジェームズがちょっと目を離したすきにバーキスが外に出て、川に落ちてしまいます。その一部始終をみていたネル・ジーンが、見かねてバーキスを助け出します。
 命拾いをしたバーキスを通して、姉と弟がこいぬのバーキスとこねこのエドワードを通して、心を交し合うことになりました。どんな心の交し合いがなされたかは、この絵本を読んでのお楽しみです。
 この絵本に描かれたイラストに、こねこやこいぬを、そして姉と弟を見つめるニューベリーの優しいまなざしが感じられるほっとする一冊です。
 わが家でもスピッツとシャムネコを飼っていた時期がありましたが、いつの間にか仲良くなっていました。シャムネコがいなくなって、必死で探していたら、スピッツの白ちゃんの犬小屋のなかで白ちゃんに包まれるようにお昼ねをしていました。
 こいぬのバーキスとこねこのエドワードもきっと仲良しになってゆくことでしょう。犬や猫が大好きな方には、たまらなくかわいいイラストだと思います。夜、おやすみなさいを言う前に読むと素敵な夢をみることができそうな一冊です。

うさぎとねこの仲良し

翻訳者の劉優貴子さんは、ボストンのお気に入りの書店で、こねこのミトン、こいぬのバーキス、そして、うさぎのマシュマロと出会います。1930年代後半から1940年代にかけて出版されたクレア・ターレ・ニューベリーの絵本が復刻された出版フェアーでのことでした。
 ニューベリーの描く動物たちは、とにかく優しくかわいい。半世紀以上経た私たちの視覚にもニューベリーの動物に対する優しさが感じられます。
 「うさぎのマシュマロ」では、うさぎとねこの出会いから、仲良くなるまでの過程が、ニューベリーの繊細なイラストと言葉で描かれています。うさぎのマシュマロとこねこのオリバーのお話は事実に基づいて書かれていることが、翻訳者の劉氏とニューベリーの娘さんとの出会いの中で確認されています。 
家政婦のティリーさんにかわいがられていたオリバーのもとに、突然連れてこられたマシュマロは、まだ幼く母親が恋しいうさぎでした。ティリーさんはオリバーのこと、マシュマロのことを折に触れて、詩に綴ります。
 劉氏のリズミカルな詩の日本語訳が、生き生きとオリバーとマシュマロの様子を伝えているように感じます。
 二匹の動物たちがどんな風に仲良しになってゆくかは、この本を読んでのお楽しみですが、わが家でもスピッツの白ちゃんとシャムネコの赤ちゃんチイちゃんとの関わりを実際に経験しました。生まれたばかりのチイちゃんは手のひらに乗る位の大きさでした。ちょっと目を離したすきにいなくなり、必死で探しました。
 何と白ちゃんの犬小屋の中で白ちゃんにくるまれるようにお昼ねをしていました。白ちゃんにとっては侵入者であるチイちゃんをくるんでくれた白ちゃんの愛情を感じた日々を思い出した暖かい一冊です。
 ウサギ好きの方にも、猫好きの方にも、たまらないくらい可愛いニューベリーのイラストをお楽しみください。

 以上、「ほのぼの文庫」管理人の<まざあぐうす>が、bk1に投稿して掲載された書評です。
 

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