2008/03/16

(ルーシー&スティーヴン・ホーキング・作/さくまゆみこ・訳)『宇宙への秘密の鍵』(岩崎書店)

 本書は、量子力学と相対性理論というふたつの大きな発見を踏まえて、その両方から導かれる宇宙の姿を初めて描いた天才物理学者スティーヴン・ホーキング博士とその娘で小説家のルーシーが世界中の子ども達のために書いた宇宙冒険物語。いまや世界約40ヶ国で出版され、世界のベストセラーとなっています。

 主人公の少年ジョージは、ペットのブタを追って隣の家に飛び込み、科学者のエリックと娘アニーに出会ったことから、スーパーコンピュータ<コスモス>によって、宇宙の旅へと導かれます。ジョージは、<コスモス>を通して、星の誕生と死や彗星を知り、宇宙に引き込まれていきますが、そこに不可解な行動を取るリーパー先生や暴力的で陰湿ないじめを繰り返す同級生の影が・・・。
 
 19のコラムと32ページの美しいカラー写真が本書の特徴と言えるでしょう。太陽系やブラックホール、物質や質量など、ストーリーを読み進める上で必要な宇宙や物理学の知識が別コラムにて挿入されていて、小学生でも理解できるような配慮が施されています。さらに、イラストの他、探査機によって撮影された天体写真やコンピューター処理画像が掲載されているため、宇宙を舞台に展開される冒険物語がよりリアルにイメージできます。

 

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2008/03/13

書評UP! 新藤悦子さんの新作『青いチューリップ 永遠に』(講談社)

 「ラーレ、ラーレ、青いラーレ 大地が血で染まろうと、天空に咲くは青いラーレ」と歌われるラーレとは、チューリップの花のこと。クルディスタンの山の中腹に咲く青いチューリップは、クルディスタンに春を告げる花だ。原産地のトルコではラーレは赤い花だった。
 羊飼いの少年ネフィは「青い」という言葉に力を込めて歌う。時は16世紀、スルタン・スレイマン一世のオスマン・トルコが全盛の時代、青いラーレは、都では、幻の花だった。

 羊飼いの少年ネフィがクルディスタンの山から持ってきた青いチューリップの球根から7年もの月日を費やして咲かせた幻の青いチューリップ。咲かせたのは神学校の教授で有名なチューリップ栽培家のアーデム教授だ。ネフィも教授のもとに留まり品種改良に協力している。

 宮廷の絵師頭シャー・クルーが「ペルシアの空の青だ」とうなる美しさ、目の覚めるような青、本物の青の中の青。妖しいほど美しい青であったが、「こんな花、咲かせてはいけない。よからぬことが、かならず起こります。」と言い、教授の妻アイラが一瞬のうちに引きちぎってしまった。アイラの言葉の通り、アーデム教授は都から追放され、アイラは亡き人となり、良からぬことが次々に起こり始め、ネフィと教授の娘ラーレの青いチューリップを巡る冒険物語が始まる。

 本書は『青いチューリップ』の続編として、前作から3年ぶりに刊行された。

 時が流れ、東の辺境の地から戻ったネフィとラーレは、ラーレの祖父であるシャー・クルーの家で生活することになった。ラーレは、女絵師になることを、ネフィムは、薬草帳を作ることを夢見ている。シャー・クルーのもとで絵師としての修業を積んでいるラーレが描いたペリ(ペルシャに伝わる善き妖精)の絵が、スルタンの妃フッレムの目に留まり、ラーレはハーレムに女絵師として招かれることに・・・。また、ネフィはアーデム教授から託された薬草らくだとげの秘密を解くために、弓作り部族を訪ねる旅に出ることに・・・。そして、再び、幻の青いチューリップの花が、人々をまどわせはじめる。

 前作の登場人物乞食のジェムは、都中の乞食集団のボスとなり、流れ者のバロは、あるときは通訳、あるときは講談師として旅を続ける。シャー・クルーの一番弟子のメフメットはモスクの壁の文様を極め、アーデム教授の屋敷の手伝いセマはシャー・クルーの屋敷の手伝いとして、再び物語に登場する。そして、続編で新たに登場する宮廷医師で、スペインから来たユダヤ教徒のモシェやハーレムの女奴隷ビュルビュル・・・一人一人が時代の制約や禁忌の中を精一杯生きている。

 前作同様、登場人物の一人一人が生き生きと描かれ、ハーレムの様子やスペインから来たユダヤ人の街バラッドの様子など、細やかな描写の中に、16世紀のトルコの生活が見事に甦っている。物語の中で、流れ者のバロが語る「青いラーレの物語」が面白く、作者の語りとの相乗効果でオスマン・トルコの時代にタイムスリップしたかのように物語を読み進むことができる。作者のイスラム世界に対する深い時代考証も見逃せないが、自らトルコのカッパドキア地方に留まり、現地の女性と絨毯を織ったり、中近東を旅し、中央アジアの遊牧民とともに生活をした作者ならではの語りではないだろうか。
 
 フッレム妃が青いチューリップに祈って引き起こそうとしている「よからぬこと」を止めることは出来るのか。
 らくだとげの秘密は解けるのか。
 年頃となったラーレにメフメットとの結婚話が上がっている。二人のその後とラーレを巡るネフィとメフメットとの恋の物語からも目が離せない。

 登場人物たちのその後は・・・・。
 青いチューリップのその後は・・・。
 読み終えた後、すぐにでも続編が読みたいと思った。前作『青いチューリップ』は、2005年度に第38回日本児童文学者協会新人賞受賞している。次なる「青いチューリップ」の物語のシリーズとしての続編を期待してやまない。

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2008/02/06

(新藤悦子・著/小松良佳・絵)『青いチューリップ』(講談社)

16世紀のトルコを舞台とした深遠な冒険物語〜魂を満たし、歴史への関心や人間を超えるものへの洞察を促す良書

  クルディスタンの山の中腹に咲く青いチューリップは、クルディスタンに春を告げる花だ。「ラーレ、ラーレ、青いラーレ」と歌うのは、羊飼いの少年ネフィム、ラーレと呼ばれるのはチューリップ。原産地のトルコではラーレは赤い花だった。ネフィムは「青い」という言葉に力を込めて歌う。「大地が血で染まろうと、天空に咲くは青いラーレ」とどこからともなく、しゃがれた声が響いてきた。父親のカワとネフィム以外の誰も知らないはずの歌の続きだ。チューリップの群生の中に男が倒れていた。ネフィムは、あわててカワを呼びに行く。
 男の名は、バロ。オスマンの国の都イスタンブルからやってきた流れ者だ。時は16世紀、スルタン・スレイマン一世のオスマン・トルコの全盛の時代である。スルタンは、建築家のシナンに命じて、アヤソフィアを凌ぐモスクを建築することを計画している。クルディスタンの秘境で咲きほこる青いチューリップは、都では幻の花と言われている。スルタン・スレイマンがハレムの庭に欲しがっている花であることをバロは告げる。
 父親のカワとともに青いチューリップの球根を持って、聖地エユップに巡礼の旅に出たネフィムは、神学校の教授アーデムの屋敷に引き取られることになり、教授とともに青いチューリップの交配による品種改良を行うことになった。
 7年もの月日を費やして品種改良されたチューリップのアーモンド形の蕾から、青い花が開いた。宮廷の絵師頭シャー・クルーが「ペルシアの空の青だ」とうなる美しさ、目の覚めるような青、本物の青の中の青。妖しいほど美しい青であった。
 「ラーレ、ラーレ、青いラーレ」と歌いながら、病床から起きてきたアーデム教授の妻アイラは、ようやく咲いた3本の青いチューリップを引きちぎってしまった。一瞬のできごとだった。「青いラーレ」の歌は、アイラの母親であるライラの形見の歌だ。「こんな花、咲かせてはいけない。よからぬことが、かならず起こります。」とアイラは言う。
 アイラの言葉どおり、よからぬことが起こり始めた。

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2007/11/09

児童文学基礎講座終了!

 2年半かけて受講した絵本・児童文学研究センター主催の通信講座(児童文学基礎講座54回)を終えることができ、この11月18日に終了式が小樽で開催されますので、結婚後、初めての一人旅で小樽に向かいます。

 講座の最後、51回から54回のテーマは『ゲド戦記』、20代後半に一度読みましたが、40代半ばを過ぎて読むと全く違った味わいがあります。今回再読して、ゲド戦記は、魔法使いゲドと巫女テナー(少女アルハ)の物語でありながら、普遍的に人生を象徴する物語であることを感じさせられました。また、20代の頃は、戦記という言葉から国と国の戦いなど実戦を想像して読み始めましたので、題名にやや違和感を感じた覚えがありますが、ゲド戦記は、究極のところ、人間の内面における葛藤や戦いの物語でることを感じ、再読して、ゲド戦記という題名がしっくりと受け止められるようになりました。

 平凡な人生ですが、それなりに山あり谷あり・・・ゲド戦記を再読しながら、心理的な自分の人生を振り返るきっかけを得ています。

 この2年間、自分の中の子どもを育てるような気持ちで児童文学を学びました。充実した学びと読書だったなぁと思います。小樽への小旅行、楽しみにしています。

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2007/01/22

(神沢利子著)『銀のほのおの国』(福音館書店)

 壁に飾られた剥製のトナカイ「はやて」が甦り、たかしとゆうこの兄妹が、壁の向こうの異世界にひきずりこまれ、北の荒野を駆け抜けるトナカイ「はやて」を追って旅立つ。

 無慈悲で残酷な青イヌの影におびえながら続く旅の途中で、ゆうこが青イヌの囚われの身になる。「はやて」のいるはるか北の山脈めざして困難な旅を続けるたかしは、ゆうこの身を案じながら、誰にも助けを求めることができない結界状態に向き合い、自らの判断を要求され、生存の厳しさ(困難な状況と荒野の掟)の中で、自らの行為の選択を余儀なくされ、何を信じるかを問われる。
盲目のウサギ銀の耳が歌い伝える「銀のほのおの国」―荒野に住む小さな動物たちが待ちのぞむ「トナカイ王国」の甦りをかけて、トナカイ軍と青イヌ軍が最後の戦いのときを迎えることに・・・。

 同著を大人になって初めて読んだ。
 40代という体力的にも能力的にもいろんな面での衰えが進む年代を生きながら、これまでの人生を振り返り、自分が断念せざるを得なかったことに対する負い目や無力感、そして、これからの人生で何ができるのだろうかという問いに対し、自らの限界に向き合う日々である。自分自身の人生の選択を良しとして、否定的な感情をいかに次なる人生のよりよい選択に向けるか。まさに、ツンドラを歩むような心理状況の中で、『銀のほのおの国』と出会った。

 この物語の主人公である兄妹のたかしとゆうこが送り込まれた壁の向こうの世界の出来事を通して、命をかけた選択や苦悩には必ず答えが与えられるということを確信させられたような気がする。そして、どんなに否定的な感情に満ち、エネルギーが枯渇しているかに見える状況にあっても、人間には   次なるステップを歩み始める銀色の炎のような揺らめきがあり、生きてゆけるものだということを教えられたような気がする。
 『銀のほのおの国』を読み終えて、人生の選択には常に厳しさが伴うが、自分が信じる道を歩めば、それでよいのだという思いを、今、密かにかみ締めている。bk1へ

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2006/07/30

児童文学 戦後十年における三大作品『ノンちゃん雲に乗る』・『ビルマの竪琴』・『二十四の瞳』

 昨年から受講を始めた絵本・児童文学研究センターの講座も27回目、半分まで辿り着きました。第22回講座の日本文学史③戦前・戦後で、戦後10年の児童文学三作品を読みました。ノンちゃん以外は小学校5年生位で読んだ記憶があります。30年くらい経て読んで、感動を新たにしています。

 いずれも文体が美しく、読み終えた時、心が洗われ、戦争の悲しみが深く影を落とした作品の中に、平和への切なる願いが感じられます。

 都会の子ども像をユーモアたっぷりに描いたファンタジーである『ノンタン雲に乗る』は「ヨーロッパ的本格長編児童小説の誕生」と、『ビルマの竪琴』は、「文明批評的児童文学の誕生」と謳われました。

 「われわれが重んじたのは、ただその人が何ができるかという能力ばかりで、その人がどういう人であるか、また、世界に対して、人生に対して、どこまで深い態度をとって生きているか、ということではありませんでした。」という哲学的な考え方は戦後教育の指針ともなったと言われていますが、果たして、私たち日本人がどれほどその問いに答えて来たかは疑問です。

 『ビルマの竪琴』も『二十四の瞳』も映画化されており、後者は、映画の印象の方が強く、大石先生と島の子ども達の心温まるストーリーとして記憶していましたが、再読して、30年ほど前に読んだときとは違った印象を受けました。もっと深刻で濃い戦争の影を感じ、戦争の濃い影と対照的に、平和という光を強く求める大石先生の明るさが浮き彫りにされ、若さと希望に満ち溢れた大石先生像から、年老いても、なお、前向きに生きる老大石先生像が強く心に残りました。

 児童文学の中の名作であり、必読の書だなぁとしみじみ思いました。

ビルマの竪琴
ビルマの竪琴
posted with 簡単リンクくん at 2006. 7.30
竹山 道雄著
偕成社 (1996.6)
通常2-3日以内に発送します。
二十四の瞳
二十四の瞳
posted with 簡単リンクくん at 2006. 7.30
壺井 栄著
ポプラ社 (2005.10)
通常2-3日以内に発送します。
ノンちゃん雲に乗る
石井 桃子著 / 中川 宗弥画
福音館書店 (1997.4)
通常24時間以内に発送します。

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2005/12/15

津田塾フォーラム児童文学連続講座 子どもの本の可能性 第4回「物語という魔法~子どもの本の書き手として」

tsudajyukushomen  今日の午後は、津田塾フォーラム児童文学連続講座(子どもの本の可能性)の第4回(最終回)「物語という魔法~子どもの本の書き手として」を聴講しました。講師は、作家・JBBY理事の末吉暁子氏。

 なぜ児童文学の作家となったのか?ご自身の経歴と作品を通して、物語の意義が語られました。

 【物語の原体験】母親の寝物語

 【最初に読んだ物語】アンデルセン 今年が生誕200年、時の流れを経て、今も子ども達の心を惹きつける力を持っている。

 【児童書を書くことになったきっかけ】編集者として佐藤さとる氏のコロポックルシリーズに携わっていた時、佐藤先生から「書いてみませんか?」と声をかけられ、画家の村上勉氏からも勧められた。

 【作品】

  【書き続ける推進力となったもの】同人誌「鬼が島通信」 

 自分の書きたいことを納得いくまで取材して書いている。

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2005/12/03

「子どもの本 この一年を振り返って2005」NO.2

 第二部は「今年も子どもの本ー発表ー」
 ・絵本:代田 知子(日本子どもの本研究会・絵本研究部)
 ・フィクション:飯野 庸子(新刊を読む会)
 ・ノンフィクション:増本 裕江(科学読物研究会)
 ・ヤングアダルト:小野寺 千秋(YAサービス研究会)

 私は図書館の学校の会員ではありませんが、昨年末の同じ催しから参加させていただいています。この一年間に出版された子どもの本を自分ひとりの力で網羅することは至難の業です。昨年末の発表を聞いて、それぞれの分野の発表者の方が、整理して分かりやすく解説してくださるので、自分の興味のある本を効率的に選んで読むことができました。旧作の良書に繰り返し触れることも心の滋養になりますが、新作を知ることも読書の楽しみです。

 それぞれの持ち時間が40分ですが、時間内に上手に発表して下さいますので、新刊をしっかり読み込んでいらっしゃること、量もこなし、質も高い読書をなさっていることを感じました。

 

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2005/09/02

(グロリア・ウィーン・著/代田亜香子・訳)『家なき鳥』(白水社)

家なき鳥
家なき鳥
posted with 簡単リンクくん at 2005. 9. 2
グロリア・ウィーラン〔著〕 / 代田 亜香子訳
白水社 (2001.12)
通常2??3日以内に発送します。

 インドの貧しい家の娘として生まれたコリーの半生を描いた物語。
 貧しさゆえに13歳で嫁ぎ、持参金が目的で娶られたコリー。花婿は結婚後すぐに病死、その後、義母にこき使われ、「未亡人の町」に捨てられる。
 お金もなく、教育も受けていない、カースト制度の中で身分も低く、若くして未亡人となってしまったコリー。コリーのような少女は、インドの中に数多く存在するという。

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2005/08/05

(大川悦生・文/宮本忠夫・絵)『長崎にいた小人のフランツ』(国土社)

 8月6日・9日の原爆の日を前に、原爆に関する児童書を読みました。ミケ子さんのブログmikeko's cafe『八月がくるたびに』とともに紹介されていた『長崎にいた小人のフランツ』、絶版であるのが残念です。長崎に投下された原爆を語る児童書の中でも、初めて原爆に関する本を読む小学校中学年の子ども達にお勧めの一冊です。

 『八月がくるたびに』は、小学校4年生の時に母親から買ってもらって読みましたが、30年以上経た今も心に残っています。児童書の大切さを思います。

『長崎にいた小人のフランツ』(国土社)・絶版

 主人公は岩永民夫、4年生。
 本家のわきの納屋を手直しした家に母親と二人で住んでいる。
いとこの正也とは大の仲良しだが、民夫は本家へは上がれない。そして、家の周りで仲良く遊ぶこともできない。母親も自分の実家でありながら、本家の敷居をまたげない。民夫の母親がおじいさんの反対を押し切って、朝鮮の人と結婚して、おじいさんから勘当されているからだ。
 民夫が3年生の時、父親がいなくなり、母親が身体をこわしたため、長崎の海辺の村へ戻ってきた。母親は、峠を越えて浦上にある軍の工場で働いている。

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2005/06/24

ロバート・ウェストール『弟の戦争』(徳間書店)

弟の戦争
弟の戦争
posted with 簡単リンクくん at 2005. 7.23
原田 勝 / Westall Robert
徳間書店 (1995.11)
通常24時間以内に発送します。

 童話館ぶっくくらぶ児童文学コース(15歳~)の配本で、『弟の戦争』を読みました。息子が保育園の頃からぶっくくらぶに入会、もう10年以上、毎月一冊(小学生の低学年までは2冊)の配本を受けています。

 中二まで息子は配本を毎月読んでいましたが、中二の終わり頃から、読まなくなり、配本を続けるかどうか・・・迷いましたが、配本リストに良書が多いので、私が読むことにして続けることにしました。一年の配本のうち、数冊だけでも息子が読んでくれるといいなあと思っています。『弟の戦争』は、息子にぜひ読んで欲しいと思っている一冊です。

 1990年のイラク軍のクウェート侵攻に始まり、1991年初頭多国籍軍の空爆により本格化した湾岸戦争を私たちはどのように記憶しているだろうか。生々しい殺戮の現場や戦争に苦しむ人々の肉声ではなく、多国籍軍の空爆に破壊されてゆくイラク軍の戦闘機や建造物の映像、油にまみれた海鳥の映像など、テレビ放送による映像の記憶がほとんどではないだろうか。

 物語はイギリスのロンドンのごく平凡な家庭に始まる。父は強くてたくましいラグビーの名選手、母は面倒見のいい州議会議員、そして、主人公のトム15歳、弟のアンディ12歳。トムは弟を「フィギス」(たよれるやつ)と呼んでいた。
 フィギスは、リスの子や飢えに苦しむエチオピアの親子の写真などを見ると、とりつかれたみたいになって「助けてやってよ」と言う。遠く離れた人の心を読み取る不思議な力も持っている。兄のトムだけが、フィギスが物にとりつかれた状態を知っていた。

 湾岸戦争勃発とともに、イラクの少年兵ラティーフが、フィギスの体に入りこんでしまった。いつもの夢が始まったと思い、ゲームのつもりでいたトムであったが、事態は深刻な方向に展開する。イラクの少年兵ラティーフが入り込んだフィギスは、その奇妙な行動から精神病院に入院させられることに・・・。

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2005/05/08

(アリス・ミード作)『イヤー オブ ノー レイン』(鈴木出版)

yearofnorain 鈴木出版の海外児童文学ーこの地球を生きる子どもたちーのシリーズを読み続けています。児童文学としての完成度の高さを感じると同時に解説も含めて読者である子ども達に問題提起をなす試みのすばらしさを感じています。本文に添えられた地図や解説が非常に分かりやすいことも特徴です。

 

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(ピエール・マリー・ボード・作)『消えたオアシス』(鈴木出版)

サハラ砂漠という厳しい自然の中で営々と続く命のつながりの物語

kietaoasys  幼い息子イサを連れてニジェールのサハラ砂漠を歩くオコボエとアドゥーナ夫妻。若い二人は干ばつに見舞われたザルマ族のウイナイア村を捨て、オコボエの故郷トゥアレグ族のイン・テグイーグ村を目指している。
 広大なサハラ砂漠を越えることは、命を落としかねない危険を伴う。飢えとかわきで、もはや泣き声すらあげることができないイサ、身重の体で限界まで耐え歩き続けるアドゥーナ。
 遊牧民として生きたトゥアレグ族オコボエの幼き日々、そして、農耕民として生きたザルマ族アドゥーナの幼き日々が二人の過酷な歩みを照らし出すように語られる。

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2005/04/27

コリーネ・ナラニィ著『はばたけ!ザーラ』(鈴木出版)

『はばたけ!ザーラ』(鈴木出版) bk1は、こちら

クルド人を語る完成度の高い児童書

habatakezara  主人公のクルド人の少女ザーラは、10歳になります。赤ちゃんの頃、家族や親戚と一緒にイランからイラクにある難民キャンプに逃げてきました。ザーラ達は日干しレンガで作った小さな家で暮らしています。
 学校も日干しレンガで建てられたばかり、難民キャンプでの生活は、貧しく不自由の多い日々ですが、友達のネーダや親戚のファティマ叔母さん、学校のムハマンド先生とともに明るく前向きに生きるザーラ。

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2005/03/01

(キャシー・フープマン・著)『ベンとふしぎな青いびん ぼくはアスペルガー症候群』(あかね書房)

ベンとベンを取り巻く人々を語ることを通して「アスペルガー症候群」への理解を促す物語
bentofushiginaaoibin『ベンとふしぎな青いびん』は、こちら・bk1へ。

 主人公のベンは、算数と理科がばつぐんにできる頭のいい男の子。学校のチェス大会ではいつも優勝、コンピューターにもかなり詳しい。それなのに、いつも先生に叱られてばかり。どうして先生は、いつもわかりにくいいい方をするんだろう? どうしてぼくは、いつもおこられてばっかりいるんだろう? 学校なんかだいきらいだ!と言うベン。

 ベンは、校庭のごみ拾いをしている最中に青いびんを見つけました。青いびんからすうっと立ち上がってくる白い煙。「きっとこれ、魔法のびんだよ。」と言うアンディ、「やったー!」と喜ぶベン。アンディは、ベンの幼い頃からの仲良し、話の途中で、突然話題を変えたり、奇妙な行動をとるベンをあるがままに受けとめています。二人だけにしか見えない白い煙が、次々と二人の願いを叶えてくれることに…。

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2005/02/10

(サトクリフ)『アネイリンの歌』(小峰書店)

(ローズマリー・サトクリフ)『アネイリンの歌』(小峰書店)
無名の戦士プロスパーの語りに著者サトクリフの歴史観を感じるファンタジー
aneirinnouta『アネイリンの歌』は、こちら・bk1へ。
   

 古ウェールズ語で残存する最古の長編詩『ゴドディン』をもとに書かれた本格歴史ファンタジー。時代は、紀元600年頃。ローマ帝国が撤退した後、ブリテン島に残ったケルト民族(ブリトン人やピクト人)が、北欧のゲルマン民族(アングル人やサクソン人)に支配を広げられていく時代、ブリテン島北部のハドリアヌスの壁にまたがる地域にブリトン人の三王国、レゲド、ストラスクライド、ゴドディンが存在した。
 古詩『ゴドディン』は、アルトスによって統一されたブリテンが、サクソン人の脅威に晒された時、ゴドディン王が同胞300人を集めて、戦いを挑み、そして敗れ、たった一人の戦士カナンのみが帰還した悲劇を歌う。
 
 

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2005/01/30

『ヒットラーのむすめ』(鈴木出版)

鈴木出版から、海外児童文学ーこの地球を生きる子どもたちーのシリーズが出版されています。これから大人になってゆく子どもたちがグローバルな問題意識を持つ機会となりそうなすばらしいシリーズです。ぜひ、ひとりでも多くの日本の子ども達に読んで欲しいシリーズと思い、書評を書きました。

『ヒットラーのむすめ』(鈴木出版)
子どもたちの4人のお話ゲームの中で始められた「ヒットラーのむすめ」の物語と少年の疑問と交互に進む『ヒットラーのむすめ』の物語~戦争を知らない現在の日本の子ども達にぜひ読んでほしいお勧めの良書です。hitoranomusume『ヒットラーのむすめ』(鈴木出版)は、こちら・bk1へ。

  オーストラリアの少女アンナが始めた「お話ゲーム」から「ヒットラーのむすめ」の話が生まれました。アンナ、マーク、ベン、トレーシーの四人は、地域発展協会が建ててくれたバスの待合所でスクールバスを待っています。
 雨が降り続いていた日々、アンナが「ヒットラーに娘がいたの…」と話を始めました。「ヒットラーって、だれ?」と小さいハイジが聞きます。
 もし、あなたのお子さんがヒットラーを知らなかったら、あなたはどう説明しますか? 
 この本の中では、ベンが「第二次世界大戦のときのやつだよ」「ドイツの指導者だったやつだ。で、ドイツはオーストラリアの敵国だったんだ。日本もな。でもって、ヒットラーには、ナチスの突撃隊とかゲシュタポとかがついてて、人を拷問にかけたり…」と小さなトレーシーにも分かるように具体的に説明をします。

 

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2005/01/29

太田京子著『人はクマと友だちになれるか?』(岩崎書店)

太田京子著『人はクマと友だちになれるか?』(岩崎書店)クマに関する情報が分かりやすく整理して語られています。~お子さんと一緒に、クマと人間の共存について、共に考えるためにお勧めの良書です。
hitowakumatotomodachininareruka太田京子著『人はクマと友だちになれるか?』(岩崎書店)は、こちら・bk1へ。

 この本の著者の太田京子さんは、幼い頃、北海道でオリに入れられたヒグマに出会いました。オリには、赤いかすれた文字で「キケン! このクマは野生のヒグマでたいへん危険です。近よらないでください」と書かれていました。ヒグマは、悲しい顔をしていました。
 児童文学の作家で、クマの研究者でも関係者でもない太田さんは、そのクマのことが、まるで友だちのように気になって、「人間とクマは、おたがいに傷つけないで、暮らせないものなのでしょうか? 人間はクマと友だちになれないのでしょうか?」という問題意識を抱きました。
 
 昨年は、クマが人里に出没して起こった被害や事故のニュースを多く耳にしました。本来、山に棲むクマが人里に出てくると様々な問題が生じます。クマの気持ちも考えながら、人とクマが傷つけあうことなくともに生きていける方法はあるのでしょうか。

 

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2005/01/15

『イクバルの闘い 世界一勇気ある少年』(すずき出版)

 鈴木出版から、海外児童文学ーこの地球を生きる子どもたちーのシリーズが出版されています。事実を基に語られた物語です。同時代の同じ地球上に生きている子どもたちがどのような環境に置かれ、どのように生きているかの視野を広げ、これから大人になってゆく子どもたちがグローバルな問題意識を持つ機会となりそうなすばらしいシリーズです。
 ぜひ、ひとりでも多くの日本の子ども達に読んで欲しいシリーズと思い、書評を書きました。

パキスタンの子ども達を不法労働から救うために勇気を持って立ち上がったイクバル少年の物語~同時代の地球を生きる一人の人間として、日本の子ども達にもぜひ読んでほしい物語です。ikubarunotatakai『イクバルの闘い』は、こちら・bk1へ。

 パキスタンのじゅうたん工房は、夏は暑くて、冬は寒い。子ども達は、夜明けから、休みなく晩まで奴隷のように働かされています。足首を鎖で織機につながれている子どもたち、指にマメができている子どもたち、皆、両親の借金返済のために売られた子どもたちです。工房の主人にそむくと厳罰が与えられます。子ども達は、未来を思い描くことも夢を持つことも出来ません。 

 そこへ一人の少年イクバルがやってきます。《青いブカラ》という値打ちのある絨毯を織ることができる少年です。苛酷な環境の中で、「借金を払い終わる子どもなんていない」「逃げるんだ!」と立ち上がるイクバル。織りかけた《青いブカラ》を主人の前で切り裂きました。真夏の墓の中に閉じ込められるという厳罰に処せられても、立ち上がるイクバルです。

 

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荻原規子さんのファンタジー勾玉三部作ーNo.2

 荻原規子さんの『空色勾玉』に出会って、非常に完成度の高い日本のファンタジーであることを感じましたが、その中でも特に『白鳥異伝』は、完成度が高く読み応えのある作品ではないかと思います。

ヤマトタケル伝説をモチーフに綴られた完成度の高い日本のファンタジー~普遍的な愛や人間の運命、善と悪について考えるきっかけを与えてくれます。繰り返し読む価値のある良書としてお勧めの一冊。
hakuchoiden『白鳥異伝』は、こちら・bk1へ。
 前作『空色勾玉』から200年ほど経た豊葦原が『白鳥異伝』の舞台となっています。ヒロインは、三野の国の橘という明色の勾玉を守っている一族の少女・遠子。ヒーローは、その家に赤ん坊の頃に拾われた小倶那という少年。二人は片時も離れることなく双子のように育ちました。
 都から大王の使者として大碓皇子が、橘の明姫を大王の妃にと求めにきた時から遠子と小倶那の二人の運命が大きく動き始めます。大碓皇子にそっくりの小倶那は、大王に嫁ぐ明姫と共に大碓皇子に仕えるために都に行くことに…。
 小倶那が出立の時に、「必ず帰ってきて。」と言う遠子、鄙びた三野にいるよりも大王の傍で仕えた方が小倶那の将来のためになるとの親心から「親だからおまえを手離すのですよ」と言う遠子の母で小倶那の育ての母である真刀野の言葉が物語の冒頭で心に残ります。

 

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2005/01/14

荻原規子さんのファンタジー勾玉三部作-No.1

 荻原規子さんのファンタジー作品~勾玉三部作に出会い、日本を代表するすばらしい物語だと感じました。息子の同級生の女の子が『空色勾玉』を愛読しているという話を聞いてから、気になっていた作品ですが、しばらく前に、ぽちさんのサイト「ぽちぶくろ。」にて、勾玉三部作への心のこもった書き込みに出会い、読んでみようと思った次第です。
 ちょうど年末から年始にかけて、家事の合間を縫ってむさぼるように読みました。それほどに心に食い込んでくる物語です。図書館から借りて読んだ本ですが、年明け早々bk1にて購入しました。何度も何度もこれから読み続けるであろう物語です。
 14歳の息子にもぜひ読んでほしいファンタジー勾玉三部作です。

神代の豊葦原を生きた登場人物たちが、それぞれの命をかけて人間の運命や愛を教えてくれる深遠で壮大な物語~素晴らしい日本のファンタジーとしてお勧めの一冊です。
sorairomagatama『空色勾玉』(徳間書店)は、こちら・bk1へ。

 仲睦まじく国生み、神生みをなさっていた二柱の神でしたが、イザナミの命は、火の神を生んで火傷を負い黄泉の国へお隠れになりました。イザナミの命を追って、黄泉の国へ行かれたイザナキの命は、女神の変わり果てた姿をご覧になられて、天つ国に逃げ帰られたという古事記のあまりにも有名な始まり…『空色勾玉』は、そんな時代の豊葦原が舞台となっています。 憎しみ合っている二柱の神は「輝の大御神」「闇の女神」と呼ばれています。豊葦原は、輝の御神の御子である姉の照日王、弟の月代王によって統治され、闇の女神を崇めていた氏族は、輝の氏族との戦いの末、辺境の地に追いやられ、「土ぐも」と呼ばれ蔑まれています。

 

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2005/01/08

(大海赫)『ビビを見た!』(ブッキング)

「過去からのすばらしい贈り物」
bibiomita『ビビを見た!』は、こちら・bk1へ。

 三月も終わりのある日のこと、生まれつき目が見えないホタルに、突然「七時間だけ目が見えるようにしてやろう」と言う声が聞こえた。
 ホタルは、目が見えたらいいななんて思ったことがない。「目が見えなくてかわいそう」と人はよく言うけれど、ホタルは目が見えないのを少しもかなしんでなんかいない。
 真っ黒なページに白抜きの文字で始まる不思議な絵本。
 ホタルの目が痛み始め、目が見えるようになる瞬間、「ホタルのまぶたに、たくさんの、すごく小さい、あやしい虫が羽音もたてずにたかる」ーそれが光だった。光というものをこんな風に描写できるなんて! すばらしい表現にがーんと衝撃を食らってしまった。
 
 

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マリア・グリーペの作品

 たくさんの読者からの希望と熱意によって、復刊されたマリア・グリーペの待望の一冊。『夜のパパ』(ブッキング)は、復刊ドットコムの存在を知らされた初めての本です。復刊の投票には間に合いませんでしたが、復刊に関わっていらした方々のそれぞれのコメントを読み、感動しました。
yorunopapa『夜のパパ』は、こちら・bk1へ。

 そして、復刊された『夜のパパ』を読み終えたとき、不思議な気持ちに包まれながら、今までに味わったことのないような不思議な感動を味わいました。スウエーデンの作家・マリア・グリーペとの出会いは、40歳を過ぎてからでしたが、子どもの頃の気持ちをじわじわと思い出させてくれる作品です。『夜のパパ』(ブッキング)と『忘れ川をこえた子どもたち』(富山房)の書評を書きました。

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2004/12/21

(伊藤遊著)『つくも神』(ポプラの森)、お勧めの児童書です。

 とっても素敵な作品に出会いました。児童書ですが、大人になった私たちにとっても、愉快な物語です。小学校中学年のお子さんから、また、読み聞かせでしたら、小学生以上のお子さんと一緒に読むことが出来る物語、学校がお休みの間、親子で楽しんでみませんか。お年玉本としてもいいかもしれません。

長い時を経て魂を宿した道具たち「つくも神」とは、どんな存在でしょうか。~あなたもつくも神たちのなせるおそろしく、滑稽な業を楽しんでみませんか。そして、あなたにとってのつくも神を見つけてみませんか。
tsukumokami『つくも神』は、こちら・bk1へ
 
 ほのかの住むマンションで不審火が出た翌日、ほのかは、エレベーターの中にこわい顔をした奇妙な置物を見つけました。それが、つくも神のひとつ、物語の始まりです。
 思春期を迎えたほのかの兄雄一は連日帰りが遅く、家族に心配ばかりかけています。奇妙な置物が、兄妹の心のコミュニケーションの始まりとなり、マンションの住人、雄一の幼な友達龍平を巻き込んで、つくも神にまつわる物語が進んでゆきます。
 マンションの建て替え問題と隣の古い家に住むおばあさん、思春期の雄一と龍平とほのかとおばあさんの土蔵の中の道具たち、雄一や龍平やほのかの幼児期と現在が交錯するなかに、長い時を経て魂を宿した道具たち「つくも神」が現れます。

 思春期を迎えて心揺れる雄一やすっかり変り果てた龍平の元に現れた道具たち、つくも神たちは、思春期の危うい二人に幼い頃の楽しい思い出をよみがえらせてくれます。二歳だったほのかの記憶に残っていない思い出も…。 つくも神に物語の中で出会うたびに、どこからかなつかしい香りが漂ってきます。幼い日々の思い出の大切さをつくも神たちから教えられます。
 つくも神たちは、おそろしく、また、かわいく、滑稽に描かれています。つくも神とは、どんな存在でしょうか。あなたも、つくも神たちのなせるおそろしく、滑稽な業を楽しんでみませんか。そして、あなたにとってのつくも神を見つけてみませんか。

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2004/12/06

第5回子どもの本 この一年を振り返って

 2004年12月1日(水)にNPO法人 図書館の学校の「第5回子どもの本 この一年を振り返って」に参加しました。会員ではありませんが、一般からも参加することができました。場所は、国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟310号室。

第1部 発表

「今年の絵本」 鈴木佳代子(二本子どもの本研究会絵本研究部)
「今年のフィクション」飯野庸子(図書館の学校新刊を読む会・児童書選書委員会)
「今年のノンフィクション」鈴木有子(科学読物研究会)

第2部 発表・まとめ
 
「今年のヤングアダルト」 丸田恭子(ヤングアダルトサービス研究会)
 
ひこさんのまとめ   ひこ・田中(児童文学者)

第3部
「落語の楽しませ方、楽しみ方」  講演:桂 文我

司会 佐藤涼子(図書館の学校 常務理事)

~まざあぐうすの感想~

 「子どもの本 この1年を振り返って」は、とても充実した内容でした。
 第1部の発表で、絵本の紹介をして下さった幼稚園の先生・鈴木佳代子さんは、限られた時間内に本当にたくさんの絵本のエッセンスを的確にご紹介下さり、その早業に驚きました。自分だけの情報量では、行き届かなかった絵本の存在をたくさん教えていただき、現場で子どもたちの反応を見ながら絵本を評価していらっしゃる方のご意見は、とても参考になりました。
 また、元図書館の司書で現在は養護学校の先生の丸田恭子さんによるヤング・アダルト向けの本の紹介も、とても分かりやすく面白かったです。明確な視点を持って分析なさっているという感想を得ました。お話も上手でした。
 ちょうど息子が14歳、適齢ですので、興味深く聞かせていただきました。
 ひこ・田中先生のお話は、ユニークな視点で、鋭い分析と面白いお話ぶりにすっかりファンになりました。
 ノンフィクションの著作、図鑑などの出版も充実していることを改めて教えられました。トリビアの泉ではありませんが、昆虫や植物の生態など生活には直接関係ないけれど、知っておくと面白い知識・・・も人生を豊かにするものだということをひこ・田中先生より教えられたような気がします。

 講師の方が共通に選んでいらっしゃる本など早速図書館に予約を入れてみました。これから年末にかけて読むことを楽しみにしています。

 読んでみたいと思った絵本は、『ちいさな赤いとうだい』、『メアリー・スミス』『ペリカンの木のぼったよ』『わたしの足は車いす』『オチツケオチツケこうたオチツケーこうたはADHD』『銅版画家の仕事場』、『ペドロの作文』、『ミミズのふじぎ』、『アリからみると』『スズメの大研究』『くるまのねだんのえほん』『田んぼのきもち』『いのり』、『アレクセイと泉のはなし』、『1と7』
 絵本以外では、『佐藤さん』、『ホエール・トーク』。特に、『ホエール・トーク』は、丸田さんとひこ・田中先生のお二人が一押しの本でした。

 第3部は、娘が帰宅する時間と重なり、第2部までの参加でしたが、とても充実した一日でした。
 読んだ本の感想や書評は随時書き込んでゆく予定です。児童書が面白い時代になってきたということを感じました。

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